複数の警察官,虚偽の調書作成・公判で偽証か

こんにちは。私は毎朝,駅に向かう道のりで,芝生のある公園を通って行きます。この芝生の匂いがとても好きでして。大きく深呼吸して,太陽の光を浴びた緑100%の芝生の匂いを体いっぱいに吸い込むと,「今日も一日頑張るぞ」と活力が湧いてきます。芝生,最高です。芝生を管理してくれている方々に感謝しつつ,来週末あたり,芝生の上でピクニックでもしようかと思います。もちろんビールでも片手に!

さて,今日は警察官による虚偽調書作成事件のお話です。

大阪府警堺署内の留置場で起きた公務執行妨害事件で,同署の複数の警察官が虚偽の供述調書を作成し,公判でもこの調書に沿ってうその証言をした疑いがあることがわかった。

府警は組織的に隠蔽を図った可能性もあるとみて,虚偽公文書作成・同行使や偽証などの容疑で捜査を始めた。

府警によると,昨年12月,覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され勾留中だった男(40)が留置場で騒ぎ,保護室に移そうとした留置管理課の巡査長(33)を殴ったため,現行犯逮捕された。

現場には,被害者の巡査長とは別に同課の巡査(25)もおり,事件直後にこの2人から事情を聴いた同署員は「(巡査長が)独断で保護室収容を決めた」という内容の供述調書を作った。

ところが,同課の警部補(50)が「このままでは全員が処分される」と言い,2人より階級が上の巡査部長が収容を指揮したように調書を書き換えさせたという。巡査部長は仮眠中で,巡査長の行動に問題はなかったが,警部補は,巡査長が独断で保護室に移したことが不適切と思い込んだらしい。

その後,捜査は刑事課に引き継がれ,巡査部長が現場にいなかったことが判明。だが,同課員は,警部補の調書書き換え指示を隠し,独断で収容したことが上司にばれるのを恐れた巡査長と巡査が2人で口裏合わせをしたとする内容の調書を作成したという。

男はその後,公務執行妨害罪などで起訴され,巡査長と巡査の2人が今年3月に大阪地裁堺支部で開かれた公判に証人出廷。刑事課員が作ったうその調書に沿う内容の証言をしたが,その後,府警の内部調査で一連の経緯が発覚。同支部は5月7日に予定していた判決期日を取り消し,今月下旬に改めて2人の証人尋問を行うことを決めた(2013年6月9日14時50分 読売新聞)。

逮捕後,堺署で勾留されていた男性が暴れていたとのことですから,「代用監獄」としての留置場に勾留されていたのでしょう。代用監獄制度でよく指摘される問題点としては,自白の強要による冤罪のおそれがあります。被疑者が警察の管理下で長時間拘束され,連日にわたって取調べが行われることで,虚偽の自白を誘発するという問題です。このような問題を解消し,被疑者の管理が捜査優先にならないようにするために,代用監獄では,留置場を管理する部署と捜査を担当する部署とを分離した運用をしてきました。しかし,今回の事件では,留置場の適切な管理ができなかったことを発端に,これを隠蔽するために,虚偽有印公文書作成罪や偽証罪といったより大きな問題に発展していったというものです。小さな穴を塞ごうと思ったら,かえって穴を広げる結果となってしまった,というところでしょうか。代用監獄は,拘置所よりも立地上便利なため,接見に行きやすい点で弁護士に利点はあるものの,管理や取調べの在り方として,抱える問題は多そうです。

何よりも,一連の捜査機関による不祥事を受け,警察庁は昨年8月に「組織的隠蔽の根絶」などを柱とした防止策を打ち出していたところでした。にもかかわらず,このような虚偽公文書作成・同行使・偽証事件が起きたということは,その組織的な隠蔽体質に大きな問題を抱えていることを示しています。「組織的隠蔽の根絶」のための取組みとして,「署長等のサポート体制の充実」や「問題を起こした職員の辞職に際して,真の退職理由を確認すること」を挙げていますが,これでは十分ではありません。捜査機関自身が犯罪を起こしてしまったことの意味を真摯に受け止め,反省するとともに,外部的な監視体制を充実させてはじめて,組織的隠蔽体質の改善に動き出せるでしょう。今後の対応に期待したいと思います。

「刑事司法」に関連する記事

亀岡暴走事故を考える

今日は「亀岡事故」について考えてみたいと思います。 京都府亀岡市で昨年4月,集団登校中の児童らが車にはねられ,10人が死傷した事故で,自動車運転過失致死傷と道路交通法違反の罪に問われた少年(19)の控訴審初公判が21日,大阪高裁(森岡安広裁判長)であ ...

READ MORE

法廷で無断録音,ネットで公開

今日は「裁判の公開」について考えてみましょう。 威力業務妨害事件をめぐる大阪地裁の法廷でのやり取りが無断録音され,動画サイト「ユーチューブ」で半年以上にわたり公開されていることがわかった。録音を原則禁じた裁判所法に触れる疑いがあり,地裁は削除を求める ...

READ MORE

DNA型鑑定

今日は「DNA型鑑定」について考えてみます。 事件解決の鍵を握るDNA型の鑑定が飛躍的に増えていることに対応するため,警察庁が2014年3月までに,約80の試料を同時に自動鑑定できる装置を新たに6県警へ配備することが27日,分かった。警察庁は自動鑑定 ...

READ MORE

事件と無関係の女性宅を間違って捜索…大阪府警

今日もまた「大阪府警」のお話です。 大阪府警生活環境課が6月,同府豊能町の山林を無許可で切り開いたとして森林法違反容疑などで町内の建築会社などの強制捜査に着手した際,事件とは無関係の女性(73)宅を捜索していたことがわかった。 法人登記簿に記載の同社 ...

READ MORE

元警部補が証拠捏造…無関係の注射器を自ら調達

こんにちは。東日本大震災から2年と3カ月が過ぎました。しかし,被災地の住居問題,原発問題,雇用問題など,いまだに問題は山積しています。人間が持つ優れた能力の一つは,「忘れること」ですが,震災の記憶や被災地の現状だけは,風化させることなく,いつまでも私 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー