司法試験「5年で3回」を「5年で5回」に緩和

今日は「司法試験制度」に関する記事です。
    

政府は、司法試験の受験回数制限を現行の「5年で3回」から「5年で5回」に緩和することを柱とした司法試験法改正案を、1月召集の通常国会に提出する方針を固めた。司法試験の合格者数の増加につながりそうだ。

早ければ2015年実施の司法試験から適用される。

06年に始まった現行の司法試験制度では、初の制度見直しとなる。

法務省によると、司法試験受験資格を得た後、勉強時間を確保する目的で、年1回の司法試験をすぐには受験しない「受け控え」が目立っている。だが、13年実施の司法試験をみると、法科大学院修了直後の受験生の合格率が39%であるのに対し、09年修了の5年目の受験生は7%と、受験が遅れるほど合格率は低下する傾向にある。このため、回数制限について、「受験生を必要以上に慎重にさせている」と疑問視する声が出ていた(2014年1月8日14時59分 読売新聞)。

現行の司法試験制度は,平成18年度から始まり,毎年3000人程度の合格者を出すことを目標としていました。しかし,近年の合格者数を見てみると,年間2000人程度に止まっており,当初の目標には大きく満たないのが現状です。このような状況からすると,なんらかの試験制度改革は必要なのかもしれません。
もっとも,制度改革に固執するあまり,受験生を置き去りにするような議論の進め方は納得できるものではありません。今回の改正案は,受験回数を5年で5回に緩和することについては決められていますが,その他の試験科目や合格者数等,重要部分については未だに不透明な部分も多く存在します。そして,本制度決定が遅れれば遅れるほど,多くの受験生が振り回されることになります。
弁護士の質を確保しつつ,多くの合格者を生み出すような制度設計が,早急に組まれることを望みます。

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中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

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