米原タンク殺人事件報道に思う

米原で会社員の若い女性が何者かに襲われ、汚泥タンクに投げ込まれて殺害された事件で、容疑者として会社員が逮捕されました。もちろん、殺人ですから、裁判員制度の対象事件です。

私は”報道を見る限り”犯人は逮捕された会社員に間違いないと思います。

何故かとというと、報道によれば、

1.容疑者の車が事件直後に修理に出され、フロンとガラスが「内側から」鈍器で打たれヒビに入っていること

2.そのヒビについて容疑者が「飛び石」と説明していること

3.汚泥タンクから金槌が発見され、遺体の状況から凶器と推定されること

4.容疑者と被害者が「不倫関係」にあったと噂されていたこと

5.容疑者が事件後出勤していないこと

6.容疑者の車内から被害者の血痕が発見されたこと

などの事実関係が認められるからです。この後、おそらく容疑者は「自白」し、交際のもつれなどの「動機」を語り、私もそして世間の人々も納得します。そして、この事件の潜在的な裁判員候補者達は、この私と同じような報道に接し、既に確信に近い有罪心証を抱いていることでしょう。

私が在外研究で滞在したイギリスでは、事件が発生し、容疑者が逮捕された後、事件に関する報道が止まります。そして、取材して溜めた多くの情報、容疑者の家族関係や生育歴、交友関係、犯行動機などに関する報道資料は、裁判で有罪の評決が下った後でまとめて放送されます。

「刑事司法」に関連する記事

DNA型鑑定

今日は「DNA型鑑定」について考えてみます。 事件解決の鍵を握るDNA型の鑑定が飛躍的に増えていることに対応するため,警察庁が2014年3月までに,約80の試料を同時に自動鑑定できる装置を新たに6県警へ配備することが27日,分かった。警察庁は自動鑑定 ...

READ MORE

法廷で無断録音,ネットで公開

今日は「裁判の公開」について考えてみましょう。 威力業務妨害事件をめぐる大阪地裁の法廷でのやり取りが無断録音され,動画サイト「ユーチューブ」で半年以上にわたり公開されていることがわかった。録音を原則禁じた裁判所法に触れる疑いがあり,地裁は削除を求める ...

READ MORE

「逃走罪」は適用されず 量刑に影響か

今日は,「逃走罪」に関する記事です。 S容疑者は勾留手続きを終える前に逃げ出したため刑法の逃走罪は適用されないが、逃走の事実は裁判で不利に働く可能性が高く、逃走の“代償”は負うことになりそうだ。 S容疑者が逃走した7日午後2時16分の時点で、検察は警 ...

READ MORE

ネットなりすまし痴漢事件

今日は「インターネット掲示板でのなりすまし事件」について考えてみます。 女性になりすましインターネットの掲示板で痴漢を呼び掛けたとして,和歌山区検は29日,大阪国税局海南税務署員,I容疑者を県迷惑防止条例違反(卑わいな行為)で略式起訴した。和歌山簡裁 ...

READ MORE

犯人の証拠隠滅に弁護士が協力?

今日は「弁護士と証拠隠滅」について考えてみます。 愛知県警の警部への脅迫事件で逮捕された風俗店「ブルーグループ」の実質経営者S被告=脅迫罪などで公判中=が,別事件で勾留中の2011年夏ごろ,留置施設に接見に来た女性弁護士の携帯電話で,部下のグループ幹 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー