死刑事件における裁判員の苦悩

「私たちが死刑評決しました。」というタイトルのランダムハウス講談社から出ているドキュメンタリー本を最近読みました。
ちょうど私がアメリカ留学していた頃,毎日盛んにテレビで報道されていたスコット・ピーターソン事件の陪審員たちの物語です。

日本では今年から裁判員裁判が始まり,裁判員に選ばれた方々の負担や苦労が色々と報道されていますが,この本を読むとアメリカ(カルフォルニア州)の陪審制度が陪審員にとって苦悩に満ちたいかに大変な制度かということが伝わってきます。

アメリカのほとんどの州やイギリスなどでは,陪審員は有罪無罪を評決するだけなのですが,このカルフォルニア州では量刑も評決します。この点,日本の裁判員制度と同様です。

日本では,まだ死刑求刑事件,しかも無罪を争っている事件において裁判員裁判は行われていませんが,もしそのような事件に裁判員として遭遇したら,想像もできないほどの苦悩が裁判員にトラウマとなってのしかかるのだろうと,この本を読んで思いました。

「刑事司法」に関連する記事

個人の刑事責任,厳密判断 漁船の航跡,疑問残れば被告有利に

こんにちは。先日のブログでは,梅雨なのに雨がなかなか降らないなんて話しておりましたが,ようやく雨が降りましたね。これでやっと季節の移り変わりを,肌で感じることができそうです。梅雨といえば,紫陽花。紫陽花ほど雨が似合う花もありませんよね。曇天の薄暗い街 ...

READ MORE

刑罰と最新科学

【性犯罪前歴者にGPS】― 携帯義務付け 宮城県が条例検討 宮城県は22日,性犯罪の前歴者やドメスティックバイオレンス(DV)の加害者に対して,行動を警察が監視できるように全地球測位システム(GPS)の常時携帯を義務付ける条例設定の検討に入ったことを ...

READ MORE

強制起訴の社長,二審も無罪判決 詐欺事件で那覇支部

こんにちは。今日も雨がしとしとと降っています。雨の降る日は交通事故が多いなどと言いますが,その原因としてすぐに思いつくのは,路面が滑るからですよね。最近では自転車が車道を走ることも多いですが,クロスバイクやロードバイクは特に車輪が細くて滑りやすいです ...

READ MORE

更生保護システム

今日は「更生保護」について取り上げます。 法務省は25日までに,万引きや無銭飲食など比較的軽い罪で起訴猶予処分が見込まれる容疑者に保護観察官が面談し,社会復帰を支援する取り組みを,全国7カ所の保護観察所で10月から試行すると発表した。 7カ所は仙台, ...

READ MORE

冤罪根絶めざす市民団体設立へ マイナリさん支援者ら

さて,今日は冤罪についてのお話です。 東京電力女性社員殺害事件で昨年,再審無罪となったネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)を支援してきた「無実のゴビンダさんを支える会」(解散)のメンバーらが新たな市民団体「なくせ冤罪!市民評議会」の設 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー