法律を勉強していたセザンヌ
近代絵画の父と言われるセザンヌは、南フランスのエクス・アン・プロバンスに生まれ、中等学校時代にはデッサンスクールに通い、絵を描くのが大好きな少年でした。
しかし、厳格な銀行経営家の父親の影響もあってエクス大学の法学部に入学し、法律家を目指しました。それでもやはり芸術の道は捨てがたく悩んでいたころ、中等学校時代からの親友に「絵の具のついた法服で法廷に出るな。」と言われ、キッパリ大学を中退して法曹を諦めました。その親友こそが、フランスの大文豪エミール・ゾラなのです。
学校時代にこんなエピソードがあります。実はゾラはイタリア系で、しかもパリからの転校生でした。日本もフランスも同じで、ゾラは直ぐにイジメのターゲットになりました。そんな彼を救い、守ったのがセザンヌだったのです。ゾラはセザンヌの優しさへのお礼として、セザンヌの家まで来て籠一杯のリンゴを贈りました。
成人してからはゾラの方がいち早く有名な小説家となり、セザンヌは印象派に参加したものの、どちらかというと泣かず飛ばすでした。その嫉妬もあってか、セザンヌはゾラと仲違いとなり、交友関係は終わりました。
でも、セザンヌのゾラへの友情は変わらず、昔リンゴを貰ったことを思い出し、リンゴの絵を何枚も描いたのでした。それが、この素晴らしい有名な絵なのです。
最近、映画「セザンヌと過ごした時間」を見て、セザンヌのことを思い出しました。