月下独酌
刑事弁護士をやってると、過ちの多くがお酒が原因かなあと感じます。8割、9割はそうかなとも思います。「もう二度とお酒は飲まない。」と固く心に誓う方もいます。その反省の情は汲みますけど、もし結婚したら結婚式があり、子供の誕生を祝う場もあるかもしれず、その成人式、結婚式、初孫誕生などの祝いの機会があり、結婚せずとも長い人生、お祝いは数限りありません。
私にすればこんなにたくさんお酒を飲む口実があるのに二度とお酒を飲まないと決めるのは勿体無い気もします。何よりもお酒は神事であることもあるのです。
どうして勿体無いと思うかと言うと、お酒のせいにするのは的外れだからです。お酒は事件直近の因果性強い原因かもしれません。しかし、結局、お酒をコントロール出来なかった自分の甘さが原因で、その奥には、そのときの一時的な雰囲気だけの問題ではなく、生活姿勢、勤勉性、責任感など根本原因が背景にあることが多いからです。
ただ、中には病的酩酊と言って、お酒に対して本人のコントロールが効かない病気も現にあり、そういう方はお酒を飲むべきではなく、専門医療機関での治療は不可欠です。
つらつらそのようなことに思いを巡らせる私の目の前にはお銚子があり、お猪口があります。お酒との付き合いは長いですが、一人で付き合うのは格別です。李白は自分、月、自分の影の3人で酒盛りだと言って楽しんでいましたが、あやかりたいものです。