LINE使い脅迫容疑,男逮捕 元交際相手に800回送信
今日は「LINEを使った犯罪」について考えてみます。
元交際相手の女性に約800回にわたり無料通話アプリ「LINE(ライン)」などを使ったメールを送って脅したとして,警視庁東村山署は17日までに,無職,I容疑者(24)=東京都中野区=を脅迫の疑いで逮捕した。同署によると,「彼女を振り向かせたかった」などと話しているという。
逮捕容疑は5月22日~7月4日,交際していた都内在住の20代女性から別れを告げられたことに腹を立て,携帯電話で「殺してやる」「包丁を持って待っている」などとメールを送りつけて脅した疑い。
同署によると,I容疑者は多い時で1日に約470回メールを送信していたという。女性が7月上旬,警視庁に被害を相談していた(2013年8月17日11時41分 日本経済新聞)。
「LINE」は,主にスマートフォン向けに開発された無料通信アプリです。
2011年に開発されて以来,現在では世界で1億5000万人,日本だけでも4500万人のユーザーがいるそうです。短い文章でのやり取りをリアルタイムで行うことができるので,気軽に友人と連絡を取り合うことができますし,「スタンプ」と呼ばれる独自のキャラクターによる画像は,通信者の感情を面白おかしく表現してくれます。人気タレントによるプロモーションも手伝って,若年層を中心に爆発的にヒットしていますが,それに伴って,「LINE」が犯罪に使われるケースも増えています。
たとえば,2013年4月には,自衛官がLINEで知り合った高校1年の女子生徒に,裸を撮影させて画像を送信させたとして,児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の被疑事実で逮捕されています。
また,同月に,富山では,LINEを使って「美人局」を行ったとして少年と少女計4人が恐喝罪の被疑事実で逮捕されています。
今回取り上げたニュースでも,LINEを用いて脅迫行為が行われています。他にも,LINEを連絡手段として用いた事件は,数多く発生しています。
LINEに関連する一連の報道を見ていますと,LINEそれ自体が「悪」であるかのような印象を抱かせるものも少なくありません。よくメディアが,「LINEを通じて知り合った」かのような報道をしていますが,LINE自体には出会い系機能はありません。「友だち」に登録してはじめてメッセージや通話ができるのであって,出会い目的で,見知らぬ人と連絡を取り合うことはできないのです。援助交際に関する報道でよく目にする「LINE掲示板」等は,LINEとは全く関係のない非公認の掲示板です。
LINEに関連して発生している事件の内容も,恐喝や援助交際を中心としたものですので,以前から存在していた「出会い系サイト」を介した犯罪と,実体は何ら変わらないものといえるでしょう。犯罪に用いられる通信手段が,メール等からLINEに変わっただけで,LINEそれ自体が「悪」ではないものと考えます。
もっとも,LINEがこれまでの通信手段と比べて,気軽な連絡のやり取りを実現するものであり,大多数の若者がLINEを利用しているのもまた事実です。その結果,若者を中心として,LINEを通信手段とする犯罪が増加している点は否定できません。「LINE犯罪」という言葉に踊らされることなく,保護者や教師はLINEの扱い方や,その裏に潜む危険性について,根気強く子ども達と話し合っていくことが必要でしょう。