若き法曹へ
うちの事務所の若い弁護士は、私の事件を通して良く学んで下さい。
刑事弁護士の苦労はどこにあるのか、無実の人を助けるため国家権力と戦うことがどんなにしんどいことか、技術よりもパッションこそが真実に近づく近道であること、私が常に言っている「常在戦場」の意味はどこにあるか(平時に訓練を積まない者は戦時に力を発揮できない)。被告人を守ることを最大使命としつつ、同じ法曹の検事や裁判官に敬意を払った活動とはどういうものか、
私と小島先生の師匠である渥美東洋教授(刑訴法)が、中央大学6号館のゼミ室でこう言い放ちました。
「法律家が一生のうちに巡り会う、世紀の大事件というは、一件か二件。問題は、その大事件に巡り会ったときに、自分がそれに相応しい実力を身につけているかどうかである。その力を身につけるために、日頃から血の滲むような努力と研鑽を積まなければならない。こうして力をつけたが、結局、そういう大事件に一件も出会えず、往生して朽ちても、それはそれでいい人生ではないか!情けないのは、そういう大事件に出会ったときに、力を発揮できない、日頃威張ってばかりいて勉強しない、眉唾弁護士のお馬鹿さんである。」
この言葉を聞いた瞬間、若き紅顔の美少年中村は、全身に電光石火が走ったものです。
すぐ消えましたが…今も微かに線香花火くらいは光ってます。
刑事事件に「つまらない事件」はないです。大疑獄事件も、お惣菜の万引事件も、当事者の不安感と絶望感は同じです。小さな事件だからと言って手を抜かず、全力で弁護することが、その弁護士を成長させます。
肝に銘じて下さい。