国士としての刑事弁護士

検察官は,犯罪を摘発訴追し,刑罰を科して国家の治安を守る。
犯罪者を訴追処罰するという治安維持作用は、専制国家、独裁国家、民主国家に共通する国家作用であり,共通する国家使命である。

しかし、無辜を処罰してはならないという使命は道義国家のみに固有の使命である。
無辜を処罰することは国家の最大の不正義、不道徳であり,不公平で不当な量刑を特定の被告人に下すことも国家の不正義・不道徳である。

刑事弁護士は,個人の基本的人権を擁護して権力濫用を防止し,冤罪や正義に反する不当な量刑を回避することで国家司法権に道義的正義をもたらすのである。
その意味で、道義国家建設の崇高かつ神聖な使命を有する刑事弁護士の「士」とは、尽忠報国の士の「士」である。
(中村)

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