強制起訴の社長,二審も無罪判決 詐欺事件で那覇支部
こんにちは。今日も雨がしとしとと降っています。雨の降る日は交通事故が多いなどと言いますが,その原因としてすぐに思いつくのは,路面が滑るからですよね。最近では自転車が車道を走ることも多いですが,クロスバイクやロードバイクは特に車輪が細くて滑りやすいですよね。自転車と自動車,あるいは,自転車と歩行者の接触事故は,雨の日こそ気を付けなければなりません。傘を差している歩行者も,足元ばかりを見て歩くのは禁物です。周りの景色を楽しんで見渡せるくらいの余裕をもって,雨の日も快適で安全な通勤・通学を!
さて,今日は「検察審査会制度」の話です。
上場見込みの薄い未公開株の購入を持ち掛けて現金をだまし取ったとして,詐欺罪で強制起訴された投資会社社長(61)の控訴審判決で,福岡高裁那覇支部は18日,無罪とした一審・那覇地裁判決を支持し,検察官役の指定弁護士の控訴を棄却した。
公判で指定弁護士は,上場する見込みは大きくないのに,社長は株価が上がると偽ったと主張したが,判決理由で今泉秀和裁判長は「当時,投資家の間で注目企業と評価されていて,上場に期待を寄せるだけの状況があった。社長が上場すると考えることには根拠があった」として退けた(2013年6月19日日本経済新聞朝刊)。
今回の事件では,指定弁護士が検察官役を担当しています。弁護士と検察官は,刑事事件において相対する関係にあるはずなのに,なぜ?と思った方もいるかもしれません。今回の事件では「検察審査会制度」が利用されたのです。
この制度について,先の陸山会事件関連のニュースで聞いたことがある方も多いかもしれませんね。検察審査会制度は,検察官が行う起訴という公訴権の行使に,国民の意見を反映させようとする目的で設けられたものです。検察官の不起訴処分に不服のある被害者や告訴人等は,検察審査会に申し立てることができます。そして,二度に渡って検察官が不起訴処分をし,検察審査会が不起訴処分を不当だと判断した場合には,それを受けた指定弁護士は,検察に代わって起訴し,公判で立証する役割を担うことになるのです。
検察審査会議は非公開で行われるため審査が不透明であるとか,起訴議決の判断基準も不明確であるなどの批判がされることもあります。しかし,起訴・不起訴は検察官に独占されている制度(国家訴追主義)を採る我が国にあっては,検察の独善に対するチェック機能を果たすものとして有効です。裁判員制度とともに,国民の司法参加を促し,刑事司法に国民の感覚を取り込むという検察審査会制度には大きな意義があると思います。まだ制度導入の初期にすぎないのですから,長期的・継続的に,国民の感覚から刑事司法を捉え直す努力をし続けることが肝要でしょう。