オウム裁判で番組を証拠採用、NHKが遺憾表明

今日は「マスメディアと司法」に関する記事です。

オウム真理教による3事件で起訴された元教団幹部・平田信まこと被告の初公判で、NHK番組の映像が証拠採用されたことについて、NHKの石田研一放送総局長は22日の定例記者会見で「放送以外の目的での番組使用は、取材協力者の信頼を損ねかねず、報道の自由が確保されない恐れもあり、極めて遺憾だ」と述べた。

証拠提出した弁護士と東京地裁に対して、映像を事実認定の証拠にしないことなどを求める申し入れ書を、21日付で送付したことも明らかにした(2014年1月22日18時14分 読売新聞)。

マスメディアは自身の取材物が裁判で証拠提出されることについて消極的です。本来,テレビの映像等は放送・報道目的で撮影されており,捜査や裁判に利用されれば協力者の不利益になりかねず、今後の取材に応じてもらえなくなる恐れが生じます。かかる事態が,取材・報道の自由に重大な制約を招き、国民の知る権利を脅かすことにつながるとマスメディアは考えているのです。
この取材・報道の自由と証拠提出との関係について,判例は「取材の自由も公正な裁判の実現のために制約を受け,諸般の事情を比較衡量した結果,取材活動によって得られたものを証拠として提出させることによって将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益を受忍しなければならない場合がある」(最大決昭和44・11・26)とし,犯罪の性質や映像の証拠価値などと報道の自由に与える影響を総合して証拠提出の有無等を決するべきであるとしています。

現代社会において,マスメディアと司法との関係をどう考えるべきなのでしょうか。現在,インターネットの普及などによって私たちを取り巻くメディア環境は複雑・多様化しています。そして,それに伴いメディアの役割や価値も変化しているように感じます。これからの両者の在り方について,改めて議論が必要であると考えます。

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中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

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