「虚偽契約」で除名処分 第一東京弁護士会

今日は「弁護士の倫理」に関する記事です。

第一東京弁護士会は27日、連帯保証人を調べず、資産があるとの虚偽情報を契約書に添付したとして、M弁護士(51)を懲戒処分で最も重い除名とした。弁護士会の調査に対し、事実関係の未確認は認めた上で「道義的な責任はあるが、法的な責任はない」と説明しているという。弁護士会は「弁護士の品位を失う非行に当たる」と判断した(2014/2/27 12:47 日本経済新聞/共同)。

弁護士法は,弁護士の使命や職務、弁護士会および懲戒に関する事項等を定めています。同法は,弁護士について「品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける」(弁護士法56条)と規定しており,重い場合には「除名」(弁護士法57条1項4号)処分を受けることになります。そして,本件のように除名処分が下されると,当該弁護士は弁護士たる身分を失い、弁護士としての活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士となる資格も失います。

近年,弁護士による不祥事を多く目にします。各弁護士会の市民相談窓口に寄せられた弁護士に対する苦情件数は、平成15年は6646件だったのに対し,平成23年には1万1129件に増加しました。また,懲戒請求も平成15年の1127件に対し、平成23年は約1885件に増加しています。

弁護士は,高度な専門知識と職業倫理に対する市民の信頼を基礎に職務を遂行しています。弁護士の不祥事は,たとえそれが一部の者であっても全ての弁護士の信頼を傷付けることになりかねません。「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命」(弁護士法1条1項)とする者が弁護士です。いかなる理由があるにせよ,弁護士が市民の信頼を失墜させるような非行に手を染めることは許されるものではありません。

「その他」に関連する記事

検事任官

実務修習は検察修習、裁判修習、弁護修習と滞りなく進み、一年後の春ころに、司法研修所の検察教官から手紙で検事任官を説得された。検察修習時の取調べが評価されたようだった。特に暴力団の傷害事件の身柄案件を配点され、指導検事から私の取調べが「強い」と言われた ...

READ MORE

法律を勉強していたセザンヌ

 近代絵画の父と言われるセザンヌは、南フランスのエクス・アン・プロバンスに生まれ、中等学校時代にはデッサンスクールに通い、絵を描くのが大好きな少年でした。  しかし、厳格な銀行経営家の父親の影響もあってエクス大学の法学部に入学し、法律家を目指しました ...

READ MORE

函館修習はじまる

苦労して司法試験に合格し、46期司法修習生となって、湯島での研修後に故郷函館で実務修習が始まった。当時は1年半に及ぶ実務修習で、函館に赴任したのは私を含めてたったの4人だった。高く、透き通るような夏空のもと、函館に着任した。高校を卒業してして以来の函 ...

READ MORE

オウム裁判で番組を証拠採用、NHKが遺憾表明

今日は「マスメディアと司法」に関する記事です。 オウム真理教による3事件で起訴された元教団幹部・平田信まこと被告の初公判で、NHK番組の映像が証拠採用されたことについて、NHKの石田研一放送総局長は22日の定例記者会見で「放送以外の目的での番組使用は ...

READ MORE

今年苦杯を舐めた全ての秀才達へ

なかなか人生は上手くいかぬものである。 きっと打ちひしがれていることでしょう。或る者はロースクールなんかに進学しなければ良かったと後悔し、或る者は、一足先に社会人生活をスタートさせた友人に引け目を感じ、また或る者は、同級生が結婚し、人生の幸福を噛み締 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー