尖閣諸島ビデオ映像の流出は罪か

尖閣諸島漁船衝突事件をめぐる映像流出事件で,検察庁や警視庁が捜査を始めました。那覇地検が政治的配慮により容疑者の船長を,半ば超法規的に釈放帰国させた以上,同事件のビデオ映像は,捜査資料という性質を超えて,政治性を帯びてきます。現に,野党を問わず全面公開すべきという声は一部に強かったものです。しかし,菅政権は対中関係に配慮して公開しなかった。中国のご機嫌を伺う弱腰外交に対し,義憤に駆られた者が国民の知る権利に答えるために公開に踏み切った,これは国家公務員法違反という「法律」に反する行為でしょうが,「罪」に問えるのか。今回の流出行為に刑罰法令を適用して保護しようとしている法益は,日本国家の法益ではなく,中国の法益ではないのか。中国をおもんばかっての「見せしめ」ではないのか。漁船長を釈放して,この流出者を処罰するのは道理にかなわないのではないか。
かつて藤本ペルー元大統領が日本に亡命したとき,大使館占拠事件で日本国民の生命を守った藤本氏を,どんな理由があろうとも手渡しはしない,と言った法務官僚がいましたが,今はそんな義侠心ある人材は法務・検察にはいないのでしょうか。

とても興味のある事件です。

「司法制度」に関連する記事

現代の魔女裁判

魔女裁判は中世ヨーロッパにだけ存在するものか。 被告人の認識に関する事実認定を考えてみよう。 認識が問題となる密輸事案にあって,被告人の行動や外形的事実から被告人の認識を推認するという手法がとられる。 間接事実から要証事実を推認するという認定手法自体 ...

READ MORE

企業秘密の漏洩、未遂も刑罰 海外流出防止に重点

今日は,「不正競争防止法の見直し」に関する記事です。  経済産業省は企業の営業秘密の漏洩を防止するため「不正競争防止法」を見直す。情報の取得に失敗した未遂罪も刑事罰の対象にするほか、海外に情報を流した場合は「15年以下」の懲役とし、現行の「10年以下 ...

READ MORE

職権探知主義と前田元検事の調書採用

小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告をめぐる政治資金規正法違反で,東京地裁の裁判長が職権により前田元検事が作成した被告人大久保隆規の検事調書が証拠採用されました。 刑事裁判の原則は,当事者主義といって,当事者である検事や弁護士が請求 ...

READ MORE

刑事訴訟法等の一部を改正する法律案が提出!

平成27年3月13日,第189回通常国会において,「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が提出されました。この法案は,昨年9月に,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」が法相に答申し,その後,3月13日に内閣が閣議決定したものです。政府与党は今国 ...

READ MORE

「戦車 対 戦車」

平成21年5月,裁判員裁判が始まりました。 それまでの数年間,検察庁は,国家的プロジェクトとして組織的に裁判員裁判対策に取り組んでいました。それに対し,相変わらず個人商店のままの刑事弁護人との闘いは,「戦車 対 竹槍」に例えられる状況にありました。 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー