尖閣諸島ビデオ映像の流出は罪か

尖閣諸島漁船衝突事件をめぐる映像流出事件で,検察庁や警視庁が捜査を始めました。那覇地検が政治的配慮により容疑者の船長を,半ば超法規的に釈放帰国させた以上,同事件のビデオ映像は,捜査資料という性質を超えて,政治性を帯びてきます。現に,野党を問わず全面公開すべきという声は一部に強かったものです。しかし,菅政権は対中関係に配慮して公開しなかった。中国のご機嫌を伺う弱腰外交に対し,義憤に駆られた者が国民の知る権利に答えるために公開に踏み切った,これは国家公務員法違反という「法律」に反する行為でしょうが,「罪」に問えるのか。今回の流出行為に刑罰法令を適用して保護しようとしている法益は,日本国家の法益ではなく,中国の法益ではないのか。中国をおもんばかっての「見せしめ」ではないのか。漁船長を釈放して,この流出者を処罰するのは道理にかなわないのではないか。
かつて藤本ペルー元大統領が日本に亡命したとき,大使館占拠事件で日本国民の生命を守った藤本氏を,どんな理由があろうとも手渡しはしない,と言った法務官僚がいましたが,今はそんな義侠心ある人材は法務・検察にはいないのでしょうか。

とても興味のある事件です。

「司法制度」に関連する記事

取調べでの誘導は違法か(その2)

【検事,誘導で調書確認】―大阪地検録画 知的障害者に 大阪府警に現住建造物等放火などの容疑で逮捕・送検された男性(29)に知的障害があり,物事をうまく説明できないのに,男性が取り調べで詳細な犯行状況や謝罪の言葉を述べたとする「自白調書」を大阪地検堺支 ...

READ MORE

国士としての刑事弁護士

検察官は,犯罪を摘発訴追し,刑罰を科して国家の治安を守る。 犯罪者を訴追処罰するという治安維持作用は、専制国家、独裁国家、民主国家に共通する国家作用であり,共通する国家使命である。 しかし、無辜を処罰してはならないという使命は道義国家のみに固有の使命 ...

READ MORE

教室で盗撮疑い、高校生書類送検 京都で条例初適用

今日は,「京都府での盗撮」に関する記事です。  高校の教室内で同級生を盗撮したとして、右京署は24日、京都府迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで、京都市伏見区の高校3年の男子生徒(17)を書類送検した。学校や職場での盗撮行為の規制を盛り込んだ4月施行 ...

READ MORE

釈放理由としての「日中関係を勘案」

尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で,那覇地検が容疑者の船長を釈放しました。船長は中国政府チャーター機で本国に凱旋し,ピースサインをして英雄となりました。 とんでもない話ですが,政治問題は置いておいて,釈放根拠を考えましょう。 逮捕後の勾留は最初が10日 ...

READ MORE

特別公務員職権濫用罪の成否は?

今回のFD改ざん事件について,前田検事が故意を認める供述を始めたとの報道がなされています。 報道を前提にすれば,村木氏の逮捕着手前に既に前田検事はFDの最終更新日が6月1日であったことを知っていながら,これを事件決裁である着手報告の際に上司に報告しな ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー