小向美奈子さんは強制退去となる?
小向美奈子さんのフィリピンでの動向が注目されています。
そして,警察が外務省に旅券返納命令の発令の要請をしたとの報道がなされました。
旅券法の第13条では長期2年以上の刑に当たる罪について逮捕状が出ている場合,一般旅券の発給をしないことができるとあります。既に発給されている場合であっても,そのような逮捕状が出た場合には,同法第19条第1項第2号により,外務大臣又は領事官は、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができます。小向美奈子さんの逮捕状の容疑である覚せい剤譲受けは10年以下の懲役ですから長期2年以上であってこの要件を満たします。
旅券返納の期限は「合理的期間」とされていますから,1日とか2日では短か過ぎ,半年,1年では長すぎるでしょう。ところで,この旅券返納命令は,名義人に通知が到達していなければ効力がないので,小向美奈子さんのように,所在不明者の場合は困るのですが,その場合,同法第19条の2第1項において,通知すべき内容を官報に掲載することで代えることができるとされ,同条第2項で,20日間の経過により本人に通知されたと看做されます。
結局,返納命令がなされてから20日間+合理的期間の経過によって,小向美奈子さんのパスポートは失効し,フィリピンで不法滞在となります。そうなると強制退去は時間の問題です。犯人が海外に逃亡した場合で,犯罪人引き渡し条約がない国に逃亡した場合に,警察がよく使う手です。