大阪地検公判部長・副部長は何をしていた?

郵便不正事件に絡んだFD改さん疑惑報道を見るにつけ,大阪地検公判部の部長・副部長は一体何をしていたのかと思います。
報道によれば,この事件の公判担当検事が特捜部副部長を庁舎に呼びつけて,故意による改ざんの可能性があると直訴したというではないですか。
私はどちらかというと刑事部経験が長く,特捜部,公判部の経験は長くはないですが,大阪地検では一年間公判部に配属となり,ずいぶんと苦労しました。
当時の大阪地検幹部が言っていたように,公判部というのは,地検の捜査部と裁判所の中間にあるような存在,いわば”中等検察庁”であって,捜査部よりは事件を客観的に見ています。ですから,捜査の不手際に対しては,とても苦労しているのです。
今回,FD改ざん疑惑を直訴した公判部担当検事にはとても同情します。
もし,仮にそのような勇気ある指摘を,特捜部長や副部長が捻じ曲げ,歪曲した形で次席検事や検事正に「問題ない」などと報告したとしたなら,心情的にゆるせませんね。
それにしても,報道では,公判部の部長や副部長の話がさっぱり出ていませんが,一体何をしていたのでしょう。当然,公判部の担当検事は,特捜部副部長に直訴する前に公判部副部長,そして,公判部長に相談していたはずです。
公判部長や副部長は,次席検事や検事正に対し,公判検事から相談された内容について報告しなかったのでしょうか?不思議です。

「司法制度」に関連する記事

司法就活生

過日,今年度の司法試験合格者が発表され、67期司法修習予定者は今,就職活動真っ只中である。 聞くところによると、50を超える法律事務所に片っ端から履歴書を送り、応募先法律事務所から面接の知らせが届いても、「この事務所に履歴書送ったかしら?」と思うらし ...

READ MORE

確定記録の開示に関する最高裁決定

平成27年10月27日,最高裁第2小法廷で,刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書、刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」と関連事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合に関し,重要な決定が出ました(小貫芳信裁判長)。 ...

READ MORE

刑事法ローヤーの35年前

恩師渥美東洋先生が亡くなって,しんみりしてしまいました。 古箱をひっくり返し,恩師の思い出を探していたら,昔父に出した手紙を掘り出しました。 消印は1979年8月28日。 今から35年前の「僕」だ。札幌の予備校の寮に入り,大学受験浪人生活をしていたこ ...

READ MORE

勾留実務は最高裁決定で変わるか

今日は,「勾留請求の却下と裁判所の姿勢」に関する注目記事です。  逮捕した容疑者について検察が身柄拘束の継続を求める「勾留請求」を裁判所が認めない割合が年々増えている。10年前まで1千件に1件程度だったが、2010年に100件に1件を超え、13年まで ...

READ MORE

刑事訴訟法等の一部を改正する法律案が提出!

平成27年3月13日,第189回通常国会において,「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が提出されました。この法案は,昨年9月に,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」が法相に答申し,その後,3月13日に内閣が閣議決定したものです。政府与党は今国 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー