国際指名手配について

今日は,「国際指名手配」について書きます。

国民健康保険の海外療養費をだまし取ったとして,警視庁は25日,東京都世田谷区弦巻,バングラデシュ国籍の調理師アミン・ショリフ被告(45)(詐欺未遂罪などで起訴)を詐欺容疑で逮捕した。

同庁は,同じ手口で海外療養費を詐取しようとしたなどとして,同被告のほかに同国人3人を逮捕,犯行の指南役として,ジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者(53)についても同容疑で逮捕状を取った。

発表によると,A被告は2009年12月,バングラデシュの病院で約1か月間,重い心臓病で入院治療を受けたとする虚偽の診断書を同区役所に提出し,海外療養費約87万円をだまし取った疑い。

ジュリップ容疑者は,A被告に詐欺の手口を教え,療養費の半額を受け取っていたという。昨年8月,同国に逃亡しており,同庁は,電話などで出頭を呼びかけるとともに,現地警察に協力を求めて行方を追っている(2013年6月25日16時09分 読売新聞)。

国際指名手配とは何でしょうか?
国際手配とは,国際刑事機構(インターポール)の加盟国が,インターポールに対して行う手続です。
インターポールには190か国・地域が加盟しており,日本及びバングラディッシュも加盟しています。インターポールは,加盟国の中に窓口となる機関を指定しており,その機関のことを国家中央事務局といいます。国家中央事務局は,自国内におけるインターポールの窓口となり,他国の国家中央事務局,事務総局,自国の関連機関等との連絡等を行っており,日本では警察庁が国家中央事務局として指定されています。また,バングラディッシュにおいては,バングラディッシュ警察が,国家中央事務局として指定されています。

インターポールによる国際手配制度として以下の6種類があります。

① 逮捕手配(赤手配) 引渡請求を前提として逃亡犯罪人の身柄拘束を求めるもの
② 情報照会手配(青手配) 国際犯罪者の所在・身元・犯罪経歴等に関する情報を求めるもの
③ 防犯手配(緑手配) 常習的国際犯罪者につき通報して,各国警察の注意を促すもの
④ 行方不明者手配(黄手配) 行方不明者,自救無能力者等に関する情報を求めるもの
⑤ 身元不明死体手配(黒手配) 国内で発見された身元不明死体について通報し,その身元を照会するもの
⑥ 武器警告手配(オレンジ手配)偽装爆弾,小包爆弾その他危険物について,各国警察,公的機関及び国際機関などに警告するもの

今回のジュリップ容疑者に対するものは,上記の内,「赤手配」にあたるものと思われます。

国際指名手配の方法として,各加盟国内に設置されている国家中央事務局に対して直接国際手配書を送付し,当該国内でのみ手配をする方法と,インターポールの事務総局に対して国際手配書を作成し,全加盟国の国家中央事務局に送付し,全世界中で被疑者を指名手配する方法があります。具体的には,インターポールの事務総局を通じて手配する場合には,顔写真や指紋を添えた国際手配申請書を事務総局宛に送付し,事務総局が,手配書発行の妥当性及び宗教性や政治性の有無を判断した後に発行されることになります。また,事務総局を介さずに直接他国の国家中央事務局に手配書を送付する場合には,インターポール専用のコミュニケーションシステムを通じて行うことができ,迅速な手配が可能となります。

いずれの方法が採られたとしても,国際手配書を受理した国家中央事務局は,逃亡犯罪人引渡法等,それぞれの国内法に基づいて被疑者の確保のための国内手配を行います。そして,現地の警察官等が被疑者を逮捕した場合,国家中央事務局を経て,手配書を送付した国に引き渡すことになります。引渡しについても,現地の国内法に基づいて行われますので,引渡の条約を締結していなければ,引渡されない訳ではなく,各種事案に応じて引渡の可否が判断されることになります。

今回の事件は日本国内で発生した事件です。しかし,日本の警察官は海外で被疑者を逮捕することはできません。また,銭形警部のように,インターポールに所属し,世界中どこにでも手錠を持って犯罪者を逮捕できる捜査官も存在しません。そこで,犯罪者を逮捕する権限を有する現地の警察官等に被疑者を逮捕してもらう必要があるのです。

国家中央事務局から被疑者の身柄の引渡しを受けた後は,通常の国内法によって,被疑者を裁判にかけることができることになります。

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