テアトルポー

高校時代を郷里函館で過ごし,進路のことなど何も考えもせずに柔道の部活で汗を流し,
その当然の報いとして大学受験不合格,札幌で浪人生活を強いられることになった。

それほど裕福でもない親に頼み込んで,何とかお金を出してもらって札幌の予備校に通い,寮生活を始めたはいいが,根っからの人付き合いの悪さからからか,友人など一人もできるはずもなく,そうは言っても受験参考書を友人にする気にもならず,毎日純文学小説をむさぼるように読み,しかし,ときどき,札幌郊外の丘に寝そべっては,教室の斜め左向かいに座っていたショートヘアの子のことを思い,高く,透き通った空を見ていた。

当時の楽しみは,予備校の授業をさぼって観に行く名画座の映画だった。
それは札幌駅の地下にある「テアトルポー」という名画座だ。
250円で観ることができたのだ。
寅さん,ロッキー,道,ティファニーで朝食を,ローマの休日,サタデイナイトフィーバー,ミスターグッドバーを探して。。。
大抵の名画はそこで観た。
たぶん,疑似人生経験もテアトルポーで得られたに違いない。

大学を卒業して,司法試験に合格して司法修習生となり,郷里の函館地方裁判所に配属になったとき,
札幌への出張で,同期の染谷君(今は裁判官)と二人で,懐かしい,懐かしい札幌の街を歩いた。
でももう寮も,テアトルポーも,どこにもなかった。

もうあれから10年も経っていたのであった。

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長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

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