ユダヤの知恵

今、あるユダヤ教徒が巻き込まれた冤罪刑事事件を担当しています。この事件に携わるようになってから、ユダヤの教典タルムードやユダヤの文化・法制度に強い関心を持ち始めました。ユダヤの戒律や生活規範といったものが、古代からの知恵の集積であることが分かります。

私は刑事事件を専門にする弁護士であることから、よく次のようなことを尋ねられます。「どうして悪いことをした犯罪者を弁護する必要があるのか。」と。私はそんなときにはいつも決まりきった言葉を並べていました。「その人は無実かもしれないし、弁護士の助力を受けるのは権利だ。」と。でも、次のようなユダヤの知恵の深さの前には、私の言葉など一枚の答案用紙の重さすら感じられません。

サンヘドリン(Sanhedrin)という、ローマ帝国支配下のユダヤの最高法院では、全員一致で死刑の判決を下した場合には死刑を執行できないことになっていました。「全員一致の死刑判決でなければ」ではなく、「全員一致の死刑判決のときには」...です。どうしてかというと、「全員一致」ということは、その被告人がその裁判の中で熱心な弁護を受けられなかったことを意味するからです(「ロイヤーメンタリング」アラン・ダーショヴィッツ著、日本評論社、93頁)。

イェルサレムの丘

「刑事弁護」に関連する記事

押尾学被告人に執行猶予5年間

MDMA使用で押尾学被告人に懲役1年6月,執行猶予5年間の判決が今日言い渡されました。 5年間ですか。長いですね。 通常,薬物使用の初犯は懲役1年6月,執行猶予3年間です。 おそらく執行猶予のつく判決の全体の60%は3年間という執行猶予期間です。5年 ...

READ MORE

被害者救済と加害者のしょく罪

次のような記事がありました。 不要になった本を寄付してもらい、本来の買い取り額を犯罪被害者やその家族への支援金に充てる取り組みが進んでいる。 「本(ホン)」で「輪(リング)を広げよう」との意味を込めて「ホンデリング」と名付けたこの活動は、スタートから ...

READ MORE

ストーカー男,元交際女性を監禁し,バリカンで髪を刈って逮捕

次のような新聞記事がありました。 茨城県警日立署は21日、同県日立市金沢町、自称とび職のN容疑者(29)を監禁と暴行の疑いで逮捕した。 発表によると、N容疑者は20日午前7時半頃、自宅で元交際相手の派遣社員女性(21)を「お前にも精神的苦痛を味わわせ ...

READ MORE

草薙剛さんに公然わいせつ罪は成立しない!?

SMAPの草薙さんが、深夜住宅街で全裸で騒いでいたということで、公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されました。外で全裸になり、「裸でなぜ悪い」などと警察官に悪態をついて服を着ようとしなかったのですから、現行犯逮捕されても仕方ありませんね。また、勾留請求をせ ...

READ MORE

記録と戯れなさい

事件に出会い、初めて向き合ったとき、この事件はあの事件と似てるなとか、あのときの結末、つまり判決宣告と同じ感じで終わるだろうなとか、こういった思いに直ぐに縛られてしまうものです。それは弁護士として経験を積んでいればいるほど、自ら進んで「経験」という名 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー