弁護士としてのやりがい

検事と弁護士の仕事の違いで一番大きなものは何かというと、弁護士は依頼者から報酬をいただくという点だと思う。検事にもある意味「依頼者」はいる。それは、相談を持ちかけてくる警察であったり、被害者であったり、被害者の代理人弁護士であったりする。でも、検事は報酬を「依頼者」から貰うこともなければ請求することもない。

弁護士は、これは民事も刑事も同じだけど、やはりそのやりがいは依頼者に喜んでもらうことでしょう。
「この弁護士に頼んで良かった。」と思われることが最大のやりがいだと思う。
報酬も喜んで払ってもらえること、弁護士の仕事に見合った報酬であると理解し、納得してもらえること。「顧客満足」というのが最も大切なことだと思う。

ある意味、弁護士の仕事の評価というのは曖昧なもの。この弁護士をつけたからこそこういう裁判の結果が得られたと満足してもらえる場合もあれば、「弁護士をつけなくても同じ結果だった。」、「同じ結果であったのだから弁護士料、もったいなかった。」と思われることもある。とくに刑事事件では、検事も裁判官もそれなりに被疑者・被告人の利益に配慮するので、余計、弁護士の仕事の評価が難しい。
いい結果を出しても、依頼人に「弁護士をつけなくても結果は同じだったのではないか。」と思われることは弁護士にとっては一番つらい。一生懸命頑張ってもそう思われたら、ゼロと同じです。

弁護士の仕事の質・量と結果との因果関係がはっきりしないのが弁護士の仕事の特色でしょう。医者であれば、外科手術によって病気が治ったというはっきりした因果関係が分かるのと対照的です。でも、だからこそ「顧客満足」を得られる仕事をする弁護士というのは凄いと思う。そういう弁護士を目指したい。

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中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

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