草薙剛さんに公然わいせつ罪は成立しない!?

SMAPの草薙さんが、深夜住宅街で全裸で騒いでいたということで、公然わいせつ罪の現行犯で逮捕されました。外で全裸になり、「裸でなぜ悪い」などと警察官に悪態をついて服を着ようとしなかったのですから、現行犯逮捕されても仕方ありませんね。また、勾留請求をせずに釈放し、在宅被疑事件扱いとした検察官の判断ももちろん妥当なものです。

その後の捜査見通しですが、報道されている事情を前提にすれば、本件で公然わいせつ罪が成立するかはかなり微妙です。公然わいせつ罪には、犯罪の成立要件として「性的意図をもって行う」という主観的構成要件の充足が必要で、いわゆる「傾向犯」と言われています。典型的には通行中の女性の前に立ちはだかりコートの前を広げて。。。見せる。。。という行為が公然わいせつ罪となります。性的意図があるからです。でも、同じ裸でも、草薙さんの場合は、性的意図、つまり、いやらしい気持ちで全裸になっていたのかどうか。報道を前提とする限り、そうではないように見受けられます。ストレス?やけっぱち?

そうすると、検察官の本件に対する最終処分も、間違いなく起訴猶予処分になるでしょう。厳密には嫌疑不十分なのかもしれませんが、実務的には起訴猶予処分でかたをつけるはずです。

ところで、公然わいせつ容疑での草薙さんの家宅捜索は行き過ぎのような気がします。

草薙さん、酒に飲まれてはいけません。しかし、これにくじけずに頑張って下さい!!

「刑事弁護」に関連する記事

記録と戯れなさい

事件に出会い、初めて向き合ったとき、この事件はあの事件と似てるなとか、あのときの結末、つまり判決宣告と同じ感じで終わるだろうなとか、こういった思いに直ぐに縛られてしまうものです。それは弁護士として経験を積んでいればいるほど、自ら進んで「経験」という名 ...

READ MORE

刑事弁護士の中の「有罪推定」意識について

足利事件の菅家利和さんが書いた「冤罪 ある日私は犯人にされた」(朝日新聞出版社)を読みました。 この事件は,菅家さんが捜査段階のみならずどうして公判でも最初は犯行を認めていたのか,関心があったので,買って読んでみました。 一審で担当した弁護士は国選で ...

READ MORE

東京志向に思う

後藤貞人先生,下村忠利先生,秋田真志先生,鈴木一郎先生,亀石倫子先生。。。 大阪には名だたる大物スター刑事弁護士がいるのに,どうして東京の事務所で刑事弁護のサマーアソシエイトを受けたいと思うかなあ? 皆さん,東京が好きなんですね。刑事弁護なら大阪なの ...

READ MORE

念頭に思うー近代合理主義の功罪

エマニュエル・カントに代表される近代合理主義思想にあって,「目的」と「手段」の概念的な分離は近代社会樹立にとても重要な役割を果たしていると思う。 カンティアンの神髄は,私もそうであるけど,道徳的に自立した存在である他人を「手段」にしてはならず,それ自 ...

READ MORE

我が国の刑事裁判は今なお絶望的である

私が中央大学を卒業した頃であっただろうか、今から40年ほど前、当時の刑事法の大家であった平野龍一先生が、「我が国の刑事裁判は絶対的である。」という言葉を残された。血気盛んなその頃の私は、師匠である渥美東洋先生の教えもあって、「そんなことはない。刑事司 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー