望ましい検事のあり方

年末に検事正が検事部屋を巡回している。
熱心に仕事をしている新任検事がいた。
検事正は,新任検事に「何をしている。」と聞く。
すると新任検事は「事情聴取の呼出し手続です。」と答える。
すると,検事正は,いきなり
「馬鹿め!」と怒鳴った。

新任検事はなぜ怒られたのかわからず,検事正の部屋に行って理由を聞いてみた。

「どうして,私が馬鹿なのですか。」
すると検事正は,この若い新任検事にこう言った。
「今日は12月の25日だ。呼出しのハガキを出せばすぐに届く。それには,尋ねたいことがあるから1月××日に出頭すべし,とある。受け取った人は,大み そかから正月にかけて不安のうちに過さねばならない。
そういう仕事は年が明けてからやるものだ。」
と言った。

この話は現代の話ではない。
大正時代の話である。明治大正期の大刑事弁護士花井卓蔵が「望ましい検事のあり方」の一例として挙げた実話であった。

現代がヒューマンで,戦前昔が野蛮ということはない。
「法に涙あり」と言った花井だからこそ取り上げたエピソードである。

常に民衆の味方でありたい。

「刑事弁護」に関連する記事

押尾学被告人に執行猶予5年間

MDMA使用で押尾学被告人に懲役1年6月,執行猶予5年間の判決が今日言い渡されました。 5年間ですか。長いですね。 通常,薬物使用の初犯は懲役1年6月,執行猶予3年間です。 おそらく執行猶予のつく判決の全体の60%は3年間という執行猶予期間です。5年 ...

READ MORE

のりピー逮捕

のりピーこと酒井法子さんが逮捕されました。 容疑は覚せい剤所持。尿検査で覚せい剤反応が出れば覚せい剤使用でも起訴されます。 昨夜の逮捕ですから、48時間以内である明日10日月曜日の午前一番に東京地検に送検されます。 そして、午後には東京地裁で勾留質問 ...

READ MORE

我が国の刑事裁判は今なお絶望的である

私が中央大学を卒業した頃であっただろうか、今から40年ほど前、当時の刑事法の大家であった平野龍一先生が、「我が国の刑事裁判は絶対的である。」という言葉を残された。血気盛んなその頃の私は、師匠である渥美東洋先生の教えもあって、「そんなことはない。刑事司 ...

READ MORE

わが“即独”体験記

 私は,司法修習終了後に検事に任官し,退官した後は,あさひ法律事務所(現西村あさひ法律事務所)に就職したので,厳密な意味での,“即独”を経験したことはない。ところが,事務所在籍中,政治家になることを思い立ち,故郷の函館で選挙区支部長として政治活動をす ...

READ MORE

被害者救済と加害者のしょく罪

次のような記事がありました。 不要になった本を寄付してもらい、本来の買い取り額を犯罪被害者やその家族への支援金に充てる取り組みが進んでいる。 「本(ホン)」で「輪(リング)を広げよう」との意味を込めて「ホンデリング」と名付けたこの活動は、スタートから ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー