弁護士としてのやりがい

検事と弁護士の仕事の違いで一番大きなものは何かというと、弁護士は依頼者から報酬をいただくという点だと思う。検事にもある意味「依頼者」はいる。それは、相談を持ちかけてくる警察であったり、被害者であったり、被害者の代理人弁護士であったりする。でも、検事は報酬を「依頼者」から貰うこともなければ請求することもない。

弁護士は、これは民事も刑事も同じだけど、やはりそのやりがいは依頼者に喜んでもらうことでしょう。
「この弁護士に頼んで良かった。」と思われることが最大のやりがいだと思う。
報酬も喜んで払ってもらえること、弁護士の仕事に見合った報酬であると理解し、納得してもらえること。「顧客満足」というのが最も大切なことだと思う。

ある意味、弁護士の仕事の評価というのは曖昧なもの。この弁護士をつけたからこそこういう裁判の結果が得られたと満足してもらえる場合もあれば、「弁護士をつけなくても同じ結果だった。」、「同じ結果であったのだから弁護士料、もったいなかった。」と思われることもある。とくに刑事事件では、検事も裁判官もそれなりに被疑者・被告人の利益に配慮するので、余計、弁護士の仕事の評価が難しい。
いい結果を出しても、依頼人に「弁護士をつけなくても結果は同じだったのではないか。」と思われることは弁護士にとっては一番つらい。一生懸命頑張ってもそう思われたら、ゼロと同じです。

弁護士の仕事の質・量と結果との因果関係がはっきりしないのが弁護士の仕事の特色でしょう。医者であれば、外科手術によって病気が治ったというはっきりした因果関係が分かるのと対照的です。でも、だからこそ「顧客満足」を得られる仕事をする弁護士というのは凄いと思う。そういう弁護士を目指したい。

「刑事弁護」に関連する記事

足利事件―弁護過誤はないのか

4歳の女児が誘拐・殺害された「足利事件」において、無期懲役の有罪判決が確定し、17年間も服役していたSさんが釈放されました。再審で無罪となる可能性が高いといいます。 この問題は、DNA鑑定に注目が集まっていますが、専門家の私としては、なぜ自白したのか ...

READ MORE

個人の刑事責任,厳密判断 漁船の航跡,疑問残れば被告有利に

こんにちは。先日のブログでは,梅雨なのに雨がなかなか降らないなんて話しておりましたが,ようやく雨が降りましたね。これでやっと季節の移り変わりを,肌で感じることができそうです。梅雨といえば,紫陽花。紫陽花ほど雨が似合う花もありませんよね。曇天の薄暗い街 ...

READ MORE

望ましい検事のあり方

年末に検事正が検事部屋を巡回している。 熱心に仕事をしている新任検事がいた。 検事正は,新任検事に「何をしている。」と聞く。 すると新任検事は「事情聴取の呼出し手続です。」と答える。 すると,検事正は,いきなり 「馬鹿め!」と怒鳴った。 新任検事はな ...

READ MORE

犯人の証拠隠滅に弁護士が協力?

今日は「弁護士と証拠隠滅」について考えてみます。 愛知県警の警部への脅迫事件で逮捕された風俗店「ブルーグループ」の実質経営者S被告=脅迫罪などで公判中=が,別事件で勾留中の2011年夏ごろ,留置施設に接見に来た女性弁護士の携帯電話で,部下のグループ幹 ...

READ MORE

外れ馬券代は必要経費か

今日は馬券の話です。 競馬の予想ソフトを使って大量に馬券を購入し,配当で得た約29億円の所得を申告しなかったとして所得税法違反に問われた元会社員の男性(39)に対する判決で,大阪地裁(西田真基裁判長)は23日,男性に懲役2月,執行猶予2年(求刑・懲役 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー