資金管理団体
民主党幹事長小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡って政治資金収支報告書への虚偽記載が問題となっています。当時,東京地検特捜部は,小沢氏の秘書で会計事務担当であった現民主党衆議院議員石川知裕氏への事情聴取に踏み切りました。
この政治資金規正法というのは分かりにくい法律で,私も自民党北海道第8選挙区支部長当時,資金管理団体を持っていましたので,この法律を詳しく調べたことがあります。
この「資金管理団体」とはなんなんでしょうか?一言でいえば政治家のお財布です。
昭和55年の政治資金規正法改正までは,政治家のお財布の中身は公開しなくても良かったのです。当時,収支が公開対象となっていたのは「政治団体」のみであって,政治家個人の政治資金の収支報告は義務づけられていなかったのです。ところが,昭和51年2月にロッキード事件が発覚し,政治家個人に対する政治資金の公開のあり方が議論されるようになったのです。
そこで,昭和55年改正によって,「指定団体制度」と「保有金制度」が創設されました。立法論としては,政治家個人のお金の出入りをそのまま公開する制度も考えられなくはないですが,公私の別をつけがたく,不可能でした。そこで,もっぱら政治家個人の政治資金を取り扱う団体をひとつだけ「指定」させて,そこに政治家個人への政治資金を入れさせて取り扱うようにし,その団体の収支に関する報告義務を課して政治資金の透明化を図ったのでした。それが,平成6年の政治資金規正法改正において「資金管理団体制度」に発展したのです。
ですから,政治家「個人」が政治献金を受ける際の受け皿は,「資金管理団体」だけであって,政治家は政治献金を受けたときは必ず「資金管理団体」に入れなければならず,それ以外に政治家個人のポケットに入れてはならないのです。
今回の「陸山会」という小沢氏個人の資金管理団体は,団体自らが平成16年に土地取引をし,土地を買っています。資金管理団体の土地取引そのものは平成19年の政治資金規正法改正で禁止されましたが,この取引当時の平成16年には禁止されていませんでしたので,許されるのですが,問題は,土地購入の原資なのです。資金管理団体が主体となって土地取引をするのであれば,当然原資も当該資金管理団体が拠出します。ところが,「陸山会」の収支報告を見ると,原資としてどうしても4億円分がつじつまが合わない,などと報道されています。それで,この4億円は一体どこから出てきたのかが取りざたされているのです。小沢氏側は金融機関からの借り入れによって捻出したと説明しているようですが,融資時期と土地代金支払い時期が整合しないなどと報道されています。そうすると,他に「ポケット」があったのではないか,との疑念が生じてきます。政治家個人は,資金管理団体以外に「ポケット」を持ってはいけないのです。