良い起訴状と変な起訴状

私が検察官であったころ,事件捜査に携わり,証拠を収集して被疑者を起訴していましたが,よく決裁官の指導検事に

「良い起訴状というのは安心だ。一読してなるほどそういう事件かと思わせる起訴状が良い起訴状だ。これは安心して決裁できる。しかし,一読して変な起訴状は心配だ。そんな変な起訴状は,大抵,事件の筋を見誤っているか,捜査が足りていない。」

などとよく言われていました。これは当たっていると思います。

起訴状だけでなく,判決も同じです。

南馬込放火殺人事件の判決は,いかにも変な判決文です。その要旨は:

「被告人は,被害者に対し,殺意をもって,被告人自身の服に火をつけて被害者に抱きつくか,または,被害者の服に火をつけてそれに被告人自身が抱きついて,被害者を殺害した」

なんですか,これ????

私の決裁官だった上司の検事であったら,絶対に決裁を与えない類のものです。

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