発砲警察官に殺人罪は成立するか

報道によると,奈良県警の警察官が逃走車両に発砲し、助手席の男性が死亡し特別公務員暴行陵虐致死罪などで起訴されていた(付審判請求事案)事件で,訴因変更により殺人罪も審理することになったようです。裁判員裁判です。
窃盗事件で逃走した車両が、警察車両に挟まれたところに警察官3人が計8発を発砲。助手席の方が死亡したとのことです。

法律的には興味深い論点が含まれています。警察官が運転手を狙って発砲した(運転手に対する未必の故意あり)が助手席の人に当たって死亡した場合,殺人の構成要件に該当します。しかし,運転手に発砲する必要があって正当な職務であると認められる場合,違法性に関する錯誤の問題が出てきます。助手席の人に発砲する必要性は認められないので,その死亡に関して違法性は認められるでしょう。しかし,助手席の人を狙ったのではなく,運転手を狙ったとするなら,責任論において,責任故意が阻却される可能性が出てきます。こんな複雑な法律上の争点を抱えた事案が裁判員裁判に馴染むとは思えませんが…

「司法制度」に関連する記事

刑事法ローヤーの35年前

恩師渥美東洋先生が亡くなって,しんみりしてしまいました。 古箱をひっくり返し,恩師の思い出を探していたら,昔父に出した手紙を掘り出しました。 消印は1979年8月28日。 今から35年前の「僕」だ。札幌の予備校の寮に入り,大学受験浪人生活をしていたこ ...

READ MORE

大阪地検特捜部検事が証拠改ざん?

今日の朝日新聞朝刊のスクープで,元厚労省局長の郵便不正事件に関し,大阪地検特捜部の主任検事がFDの最終更新日時を改ざんしていたと報道されました。 信じられないことです。検事調書の「作文問題」とは比較にならないほどのスキャンダルだと思います。FDという ...

READ MORE

公器を思う

私の趣味の一つに就寝前にDVDを見るというものがある。 歴史ものが好きで,これまで織田信長,西郷隆盛,新撰組,大村益次郎などを扱った大河ドラマなどを見たが,就寝前に,しかもベッドに横になって見るのが好きである。 DVDプライヤーは小型のもので,それを ...

READ MORE

実刑との中間刑「一部執行猶予」3年内に施行へ

皆さん,「7119」ってご存知ですか?事故や病気で救急車を呼ぶかどうか迷っているときに,こちらに電話すると,専門の医療相談員(医師や看護師)が相談に応じてくれます。緊急性が認められた場合に,救急車により搬送してくれるのだとか。本当に救急車が必要な人が ...

READ MORE

企業秘密の漏洩、未遂も刑罰 海外流出防止に重点

今日は,「不正競争防止法の見直し」に関する記事です。  経済産業省は企業の営業秘密の漏洩を防止するため「不正競争防止法」を見直す。情報の取得に失敗した未遂罪も刑事罰の対象にするほか、海外に情報を流した場合は「15年以下」の懲役とし、現行の「10年以下 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー