発砲警察官に殺人罪は成立するか

報道によると,奈良県警の警察官が逃走車両に発砲し、助手席の男性が死亡し特別公務員暴行陵虐致死罪などで起訴されていた(付審判請求事案)事件で,訴因変更により殺人罪も審理することになったようです。裁判員裁判です。
窃盗事件で逃走した車両が、警察車両に挟まれたところに警察官3人が計8発を発砲。助手席の方が死亡したとのことです。

法律的には興味深い論点が含まれています。警察官が運転手を狙って発砲した(運転手に対する未必の故意あり)が助手席の人に当たって死亡した場合,殺人の構成要件に該当します。しかし,運転手に発砲する必要があって正当な職務であると認められる場合,違法性に関する錯誤の問題が出てきます。助手席の人に発砲する必要性は認められないので,その死亡に関して違法性は認められるでしょう。しかし,助手席の人を狙ったのではなく,運転手を狙ったとするなら,責任論において,責任故意が阻却される可能性が出てきます。こんな複雑な法律上の争点を抱えた事案が裁判員裁判に馴染むとは思えませんが…

「司法制度」に関連する記事

南馬込放火殺人事件―判決,そして控訴

主任弁護人として関わっている南馬込放火殺人事件の判決が3月25日,東京地裁刑事12部で言い渡されました。 無罪主張を退け,懲役16年(求刑同20年)という不当な判決で,本日,当然のことながら控訴を申し立てました。 判決理由の中では,証人に立った警察官 ...

READ MORE

特別公務員職権濫用罪の成否は?

今回のFD改ざん事件について,前田検事が故意を認める供述を始めたとの報道がなされています。 報道を前提にすれば,村木氏の逮捕着手前に既に前田検事はFDの最終更新日が6月1日であったことを知っていながら,これを事件決裁である着手報告の際に上司に報告しな ...

READ MORE

いざアメリカへ

僕が司法試験に合格したのはもうずいぶん昔になる。 合格した当時は,弁護士志望であって渉外事務所で国際案件に携わってみたいという夢があった。 あるいは,当時まだバブルの余韻もあったからなのか,ブル弁(ブルジョア弁護士)になって不動産専門弁護士!になって ...

READ MORE

刑事訴訟法等の一部を改正する法律案が提出!

平成27年3月13日,第189回通常国会において,「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が提出されました。この法案は,昨年9月に,法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」が法相に答申し,その後,3月13日に内閣が閣議決定したものです。政府与党は今国 ...

READ MORE

新撰組とNICD

刑事弁護は,何よりもスピードが命である。 夜中に家族から相談電話が入り,身内が逮捕されたとの報に接したときには,当日朝には,家族面談を実施して事件見通しなどについて助言し,弁護人選任届,身柄引受書等の必要書類を作成して,検察庁刑事部の事件係に一報を入 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー