特別公務員職権濫用罪の成否は?

今回のFD改ざん事件について,前田検事が故意を認める供述を始めたとの報道がなされています。
報道を前提にすれば,村木氏の逮捕着手前に既に前田検事はFDの最終更新日が6月1日であったことを知っていながら,これを事件決裁である着手報告の際に上司に報告しなかったとされています。
もしこれが真実であるとすれば,前田検事は,あたかも6月上旬に村木氏が指示関与した証拠があり,それに反する客観的証拠がないかのように装って,着手報告をして検察庁の内部決裁を通し,情を知らない裁判官をして,村木氏の逮捕状を発付させ,村木氏を逮捕した,ということになります。

これは,刑法第194条の「裁判,検察,警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して,人を逮捕し,・・」に該当する可能性も出てきます。
問題は,やはり前田検事の「故意」で,FD記録を見て村木氏の無関与を認識したけど,いまさら後戻りできないので,無実であろうがなかろうが逮捕に踏み切った,というような故意が必要でしょう。

「司法制度」に関連する記事

適塾としてのNICDサマーアソシエイト制度

NICDでは,創設以来,サマーアソシエイト制度を実施していて,これまでに確か18人ほどのOBを送り出しています。 4大等の同種制度と違って,研修期間は比較的長く,第1期などは丸々2か月間,最近でも2週間となっています。 しかも,NICDのサマーアソシ ...

READ MORE

示談の利益を奪う千葉地検の事件処理

千葉地検刑事部では,ここ最近,痴漢等の条例違反事件で,送検時の在庁略式罰金処分が目立つ。 在庁略式は,従前,住居不定の者など,のちに出頭確保が困難な者や罰金命令が郵送で届かない者について行われる慣行であった。 それが,千葉地検刑事部では住居のしっかり ...

READ MORE

今年,苦杯を舐めた諸君へ

失敗や浪人を重ねた人間は,その底力が順風満帆の人のそれとは根本的に違います。 西郷隆盛などは二回も島流しにあって,1回目は3年間,2回目は1年半,の合計4年半も島流し・浪人をしていたわけです。 そして,小松帯刀らの働きかけで2回目の島流しから戻ったの ...

READ MORE

強制起訴の社長,二審も無罪判決 詐欺事件で那覇支部

こんにちは。今日も雨がしとしとと降っています。雨の降る日は交通事故が多いなどと言いますが,その原因としてすぐに思いつくのは,路面が滑るからですよね。最近では自転車が車道を走ることも多いですが,クロスバイクやロードバイクは特に車輪が細くて滑りやすいです ...

READ MORE

薬物依存者等に対する刑の一部執行猶予制度について

弊所では,覚せい剤,大麻,麻薬などの薬物事件を多数担当しています。現在の日本の刑事司法においては,薬物の使用や所持といった薬物事件の初犯者であれば,起訴されて裁判所で審理を受ける場合でも,懲役1年6月,執行猶予3年といった刑が科され,社会復帰できるこ ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー