南馬込放火殺人事件―判決,そして控訴

主任弁護人として関わっている南馬込放火殺人事件の判決が3月25日,東京地裁刑事12部で言い渡されました。
無罪主張を退け,懲役16年(求刑同20年)という不当な判決で,本日,当然のことながら控訴を申し立てました。

判決理由の中では,証人に立った警察官2名の偽証を認定し,うち警察官1名の証憑隠滅も認定している上,目撃証人の偽証を認定しているので,検察が「事実誤認」で控訴するかどうかその動きを注視すべきでしょう。

検察内では,量刑について「結果オーライ」で控訴しない,という大勢となるかもしれませんが,目撃者や警察官が偽証等として認定された判決を控訴せず,この者らに対する犯罪捜査もしないというのは,犯罪者擁護も等しく,後で,これらの者が偽証,証憑隠滅,放火殺人等で告訴された場合の処理に困ることになるでしょう。

ところで,何故,マスコミは,この証拠偽造や偽証に関する報道をしないのでしょう?前田検事事件とまったく同じ性質のスキャンダルなのに全く報道がなされないのはどうしてでしょうか?
被告人が有罪となり犯人と認定されたから少しくらいの違法は目をつぶろうということなのでしょうか。

災害報道も大切ですが,国家権力に対する監視がマスコミの第一の使命ではないでしょうか?

「司法制度」に関連する記事

我が国の刑事裁判は今なお絶望的である

私が中央大学を卒業した頃であっただろうか、今から40年ほど前、当時の刑事法の大家であった平野龍一先生が、「我が国の刑事裁判は絶対的である。」という言葉を残された。血気盛んなその頃の私は、師匠である渥美東洋先生の教えもあって、「そんなことはない。刑事司 ...

READ MORE

大阪地検公判部長・副部長は何をしていた?

郵便不正事件に絡んだFD改さん疑惑報道を見るにつけ,大阪地検公判部の部長・副部長は一体何をしていたのかと思います。 報道によれば,この事件の公判担当検事が特捜部副部長を庁舎に呼びつけて,故意による改ざんの可能性があると直訴したというではないですか。 ...

READ MORE

職権探知主義と前田元検事の調書採用

小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告をめぐる政治資金規正法違反で,東京地裁の裁判長が職権により前田元検事が作成した被告人大久保隆規の検事調書が証拠採用されました。 刑事裁判の原則は,当事者主義といって,当事者である検事や弁護士が請求 ...

READ MORE

小沢氏へ4回目の事情聴取要請

第1検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて,東京地検は,また小沢氏に事情聴取要請をしたと報道されています。 やや,蒸し返し・繰り返しの観があります。 何か新しい証拠が出てくる見通しがないのに捜査を繰り返し,蒸し返すと,刑事手続が圧政の手段になってし ...

READ MORE

「自分がやった」殺人の夫をかばった妻、不起訴

今日は「犯人隠避」に関する記事です。 東京地検立川支部は4日、東京都町田市、無職O容疑者(48)を殺人罪で東京地裁立川支部に起訴した。起訴状などによると、O容疑者は今年1月、八王子市のマンションの一室で、この部屋に住む男性(当時63歳)の首を両手で絞 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー