保釈取消し

PC遠隔操作事件で,保釈になっていた被告人が保釈取消しとなって再び収監されました。
保釈とはどんな制度で,どんなときに取消になるのでしょうか。

保釈は,起訴された後に一定の条件で認められる身柄釈放制度で,起訴前の捜査段階では法律上認められません。
重大事件でないこと,常習性がないこと,証拠隠滅のおそれのないことなどといった条件を満たせば,権利としての保釈が認められます(権利保釈)。
権利としての保釈が認められない場合であっても,特別事情があれば裁判官の裁量で保釈が認められることがあります(裁量保釈)。

保釈条件として重要なことは,保釈決定で定められた住居地(制限住居地といいます)で生活すること,共犯者と口裏合わせをしたり,被害者に働きかけるなどの罪証隠滅工作をしないことなどです。これらの条件に違反すると保釈が取り消されるわけです。

今回のPC遠隔操作事件では,被告人が真犯人ではないことを示す偽装工作をしたということで,罪証隠滅工作を行ったので,保釈が取り消されました。
これはあからさまな保釈条件違反ですが,そのほか,保釈で決められた住居で生活していないといったケースで保釈が取り消されることがあります。
少し古いですが,許永中の保釈取消しがそうでした。韓国に逃亡してしまったのですから。

海外逃亡という大胆な行為に出なくても,例えば,久しぶりに自由の身となって友達のところを泊まり歩き,制限住居地になかなか帰らなかった事例や裁判所の許可を得ないで海外旅行に行ってしまった場合なども保釈が取り消されることがあります。

そのほか,裁判所から重要書類が書留で郵送され,偶々その日不在にしていて郵便局員が不在票を郵便受けに入れたものの,被告人がずぼらな性格で,郵便受けを全然確認せずに,とうとう郵便局から書類が裁判所に戻ってしまった場合などにも,制限住居地に住んでいないのではないかということで保釈取消しが問題となるので(少なくとも裁判官にこっぴどく叱られるので)注意が必要です。

「司法制度」に関連する記事

いざアメリカへ

僕が司法試験に合格したのはもうずいぶん昔になる。 合格した当時は,弁護士志望であって渉外事務所で国際案件に携わってみたいという夢があった。 あるいは,当時まだバブルの余韻もあったからなのか,ブル弁(ブルジョア弁護士)になって不動産専門弁護士!になって ...

READ MORE

田中角栄語録と刑事弁護

「今太閤」と呼ばれ,「日本列島改造論」で国家ヴィジョンを大衆に示し,ロッキード事件で訴追されてもなお絶大な権力を握り続けた田中角栄の語録にこんなのがあるらしい。 「人間は,やっぱり出来損ないだ。 みんな失敗する。 その出来損ないの人間を そのまま愛せ ...

READ MORE

アリバイ証明で明らかになった誤認逮捕・誤認起訴

また冤罪事件です。冤罪事件はなくなることはありません。 今回は,弁護士の素晴らしい活動で,比較的早期に疑いが晴らされ,公訴取消となりました。 以下,報道記事です。 大阪府警北堺署がガソリンの窃盗容疑で男性会社員(42)を誤認逮捕した問題で,大阪地検堺 ...

READ MORE

パチンコで負けむしゃくしゃ、店に落書きした男

今日は,「建造物等損壊罪」に関する記事です。 警視庁町田署は16日、東京都町田市の会社員の男(35)を器物損壊容疑で現行犯逮捕した。 逃亡や罪証隠滅の可能性がないと判断し、17日夕に釈放、任意で捜査を続け、容疑が固まり次第、建造物損壊容疑に切り替えて ...

READ MORE

刑事弁護士(Criminal Defense Lawyer)とは

刑事弁護士(Criminal Defense Lawyer)とは何者か。 刑事弁護士が扱う刑事事件は、最後は「和解」でお茶を濁す民事事件とは異なる。 執行猶予か,それとも実刑か。懲役16年か,それとも無罪か。ときには、死刑か,それとも無罪か。 そうし ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー