保釈取消し

PC遠隔操作事件で,保釈になっていた被告人が保釈取消しとなって再び収監されました。
保釈とはどんな制度で,どんなときに取消になるのでしょうか。

保釈は,起訴された後に一定の条件で認められる身柄釈放制度で,起訴前の捜査段階では法律上認められません。
重大事件でないこと,常習性がないこと,証拠隠滅のおそれのないことなどといった条件を満たせば,権利としての保釈が認められます(権利保釈)。
権利としての保釈が認められない場合であっても,特別事情があれば裁判官の裁量で保釈が認められることがあります(裁量保釈)。

保釈条件として重要なことは,保釈決定で定められた住居地(制限住居地といいます)で生活すること,共犯者と口裏合わせをしたり,被害者に働きかけるなどの罪証隠滅工作をしないことなどです。これらの条件に違反すると保釈が取り消されるわけです。

今回のPC遠隔操作事件では,被告人が真犯人ではないことを示す偽装工作をしたということで,罪証隠滅工作を行ったので,保釈が取り消されました。
これはあからさまな保釈条件違反ですが,そのほか,保釈で決められた住居で生活していないといったケースで保釈が取り消されることがあります。
少し古いですが,許永中の保釈取消しがそうでした。韓国に逃亡してしまったのですから。

海外逃亡という大胆な行為に出なくても,例えば,久しぶりに自由の身となって友達のところを泊まり歩き,制限住居地になかなか帰らなかった事例や裁判所の許可を得ないで海外旅行に行ってしまった場合なども保釈が取り消されることがあります。

そのほか,裁判所から重要書類が書留で郵送され,偶々その日不在にしていて郵便局員が不在票を郵便受けに入れたものの,被告人がずぼらな性格で,郵便受けを全然確認せずに,とうとう郵便局から書類が裁判所に戻ってしまった場合などにも,制限住居地に住んでいないのではないかということで保釈取消しが問題となるので(少なくとも裁判官にこっぴどく叱られるので)注意が必要です。

「司法制度」に関連する記事

薬物依存者等に対する刑の一部執行猶予制度について

弊所では,覚せい剤,大麻,麻薬などの薬物事件を多数担当しています。現在の日本の刑事司法においては,薬物の使用や所持といった薬物事件の初犯者であれば,起訴されて裁判所で審理を受ける場合でも,懲役1年6月,執行猶予3年といった刑が科され,社会復帰できるこ ...

READ MORE

適塾としてのNICDサマーアソシエイト制度

NICDでは,創設以来,サマーアソシエイト制度を実施していて,これまでに確か18人ほどのOBを送り出しています。 4大等の同種制度と違って,研修期間は比較的長く,第1期などは丸々2か月間,最近でも2週間となっています。 しかも,NICDのサマーアソシ ...

READ MORE

刑事弁護士(Criminal Defense Lawyer)とは

刑事弁護士(Criminal Defense Lawyer)とは何者か。 刑事弁護士が扱う刑事事件は、最後は「和解」でお茶を濁す民事事件とは異なる。 執行猶予か,それとも実刑か。懲役16年か,それとも無罪か。ときには、死刑か,それとも無罪か。 そうし ...

READ MORE

ピンクパンサー逮捕・送還

銀座の宝石店の強盗傷害事件の容疑者として,国際窃盗団”ピンクパンサー”のメンバーがスペインで身柄を拘束され,日本に送還されました。 スペインと日本との間には犯罪人引渡条約は締結されておらず,外交ルートを通じての送還の実現でした。 実は,日本が現在,犯 ...

READ MORE

南馬込放火殺人事件―判決,そして控訴

主任弁護人として関わっている南馬込放火殺人事件の判決が3月25日,東京地裁刑事12部で言い渡されました。 無罪主張を退け,懲役16年(求刑同20年)という不当な判決で,本日,当然のことながら控訴を申し立てました。 判決理由の中では,証人に立った警察官 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー