小沢幹事長,再聴取
小沢幹事長が東京地検特捜部の再聴取を受けました。
1月31日(日曜日)に都内ホテルで約3時間にわたって聴取を受けたとのことです。
これは何を意味するか。
「固めの聴取」と「追求型の聴取」があります。
前回の1月23日実施の事情聴取では,約4時間半にわたって実施され,調書2通が作成されました。
このときの取調べは,初めての取調べでしたので,小沢氏の主張を聴きっぱなしの状態でそのまま調書に録取し,サインを得たと思います。
つまり,検事が嘘との心証を得ても追及せずに,うなずきながらそのまま調書にしたと思うのです。
これを「固めの聴取」と呼ぶとしましょうか。
これは取調べ技術としてよくやる手法で,たとえばですが,嘘をついて否認している被疑者を最初に取り調べる際に,その嘘を証拠として「固めてしまう」のです。
後でその供述が嘘と判明した場合に,「実は前に話したことは記憶違いで,よく思い出すとこれこれこうでした。」という弁解を封じるために(信用性を減じさせるために),最初の嘘の供述を調書にして署名ももらって証拠として固めてしまうのです。
分かりやすく例をあげましょう。
物騒ですが,殺人事件があるとします。AさんがAさん宅で殺されて,知人のBさんが犯人として逮捕されました。
ところが,Bさんは「私は犯人ではない。その日は自分の家で寝ていた。それにAさんは知り合いだが,Aさんの家には行ったことがない。」と話しているとします。
検事は,Bさんの話の真偽を疑っていても,そのBさんの話をそのまま無批判に調書にしてしまいます。
そして,署名までもらって証拠にします。「固めの聴取」です。
そして,例えば,後日,Aさんの自宅からBさんの指紋が発見されたとします。
その証拠をBさんにぶつけます。今度は,「追求型の聴取」です。
すると,Bさんは,「ああ,そういえば一回だけAさんの部屋に入ったことがある。」と話をひるがえすでしょう。
でも後の祭りです。
二転三転するBさんの話は信用できない,ということになるのです。
つまり,自白をとらなくても,このようにして,Bさんが犯人であるとの状況証拠を固めていくことができるのです。
小沢氏が前回の1回目の検事の事情聴取の後で会見を行いました。
その中で,小沢氏は,「わたくしの説明につきまして真剣に聞いてもらえたのは間違いないと思っている。」
と話していましたが,上記の目的をもった「固めの聴取」だったのです。
そして,昨日,行われた2回目の事情聴取は,1回目の「固めた供述」を前提に,検事の手持ちにある客観証拠を基にした「追求型の聴取」であったと思います。
つまり,今度は,検事は疑問点を小沢氏にストレートにぶつけ,緊迫した取調べであったはずです。
特捜部は本気です。しかも自信があるようです。
特捜部は,2月4日に小沢氏を政治資金規正法違反で在宅起訴すると思います。