米原タンク殺人事件報道に思う
米原で会社員の若い女性が何者かに襲われ、汚泥タンクに投げ込まれて殺害された事件で、容疑者として会社員が逮捕されました。もちろん、殺人ですから、裁判員制度の対象事件です。
私は”報道を見る限り”犯人は逮捕された会社員に間違いないと思います。
何故かとというと、報道によれば、
1.容疑者の車が事件直後に修理に出され、フロンとガラスが「内側から」鈍器で打たれヒビに入っていること
2.そのヒビについて容疑者が「飛び石」と説明していること
3.汚泥タンクから金槌が発見され、遺体の状況から凶器と推定されること
4.容疑者と被害者が「不倫関係」にあったと噂されていたこと
5.容疑者が事件後出勤していないこと
6.容疑者の車内から被害者の血痕が発見されたこと
などの事実関係が認められるからです。この後、おそらく容疑者は「自白」し、交際のもつれなどの「動機」を語り、私もそして世間の人々も納得します。そして、この事件の潜在的な裁判員候補者達は、この私と同じような報道に接し、既に確信に近い有罪心証を抱いていることでしょう。
私が在外研究で滞在したイギリスでは、事件が発生し、容疑者が逮捕された後、事件に関する報道が止まります。そして、取材して溜めた多くの情報、容疑者の家族関係や生育歴、交友関係、犯行動機などに関する報道資料は、裁判で有罪の評決が下った後でまとめて放送されます。