米原タンク殺人事件報道に思う

米原で会社員の若い女性が何者かに襲われ、汚泥タンクに投げ込まれて殺害された事件で、容疑者として会社員が逮捕されました。もちろん、殺人ですから、裁判員制度の対象事件です。

私は”報道を見る限り”犯人は逮捕された会社員に間違いないと思います。

何故かとというと、報道によれば、

1.容疑者の車が事件直後に修理に出され、フロンとガラスが「内側から」鈍器で打たれヒビに入っていること

2.そのヒビについて容疑者が「飛び石」と説明していること

3.汚泥タンクから金槌が発見され、遺体の状況から凶器と推定されること

4.容疑者と被害者が「不倫関係」にあったと噂されていたこと

5.容疑者が事件後出勤していないこと

6.容疑者の車内から被害者の血痕が発見されたこと

などの事実関係が認められるからです。この後、おそらく容疑者は「自白」し、交際のもつれなどの「動機」を語り、私もそして世間の人々も納得します。そして、この事件の潜在的な裁判員候補者達は、この私と同じような報道に接し、既に確信に近い有罪心証を抱いていることでしょう。

私が在外研究で滞在したイギリスでは、事件が発生し、容疑者が逮捕された後、事件に関する報道が止まります。そして、取材して溜めた多くの情報、容疑者の家族関係や生育歴、交友関係、犯行動機などに関する報道資料は、裁判で有罪の評決が下った後でまとめて放送されます。

「刑事司法」に関連する記事

冤罪根絶めざす市民団体設立へ マイナリさん支援者ら

さて,今日は冤罪についてのお話です。 東京電力女性社員殺害事件で昨年,再審無罪となったネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)を支援してきた「無実のゴビンダさんを支える会」(解散)のメンバーらが新たな市民団体「なくせ冤罪!市民評議会」の設 ...

READ MORE

医療過誤と刑事責任

神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で2008年,乳がん手術を受けた40代の女性患者に医療ミスで脳障害などを負わせたとして,業務上過失傷害罪に問われた当時の麻酔科医の男性被告(44)に,横浜地裁は17日,無罪判決(求刑罰金50万円)を言い渡した。 判 ...

READ MORE

実刑との中間刑「一部執行猶予」3年内に施行へ

皆さん,「7119」ってご存知ですか?事故や病気で救急車を呼ぶかどうか迷っているときに,こちらに電話すると,専門の医療相談員(医師や看護師)が相談に応じてくれます。緊急性が認められた場合に,救急車により搬送してくれるのだとか。本当に救急車が必要な人が ...

READ MORE

「逃走罪」は適用されず 量刑に影響か

今日は,「逃走罪」に関する記事です。 S容疑者は勾留手続きを終える前に逃げ出したため刑法の逃走罪は適用されないが、逃走の事実は裁判で不利に働く可能性が高く、逃走の“代償”は負うことになりそうだ。 S容疑者が逃走した7日午後2時16分の時点で、検察は警 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー