死刑事件における裁判員の苦悩

「私たちが死刑評決しました。」というタイトルのランダムハウス講談社から出ているドキュメンタリー本を最近読みました。
ちょうど私がアメリカ留学していた頃,毎日盛んにテレビで報道されていたスコット・ピーターソン事件の陪審員たちの物語です。

日本では今年から裁判員裁判が始まり,裁判員に選ばれた方々の負担や苦労が色々と報道されていますが,この本を読むとアメリカ(カルフォルニア州)の陪審制度が陪審員にとって苦悩に満ちたいかに大変な制度かということが伝わってきます。

アメリカのほとんどの州やイギリスなどでは,陪審員は有罪無罪を評決するだけなのですが,このカルフォルニア州では量刑も評決します。この点,日本の裁判員制度と同様です。

日本では,まだ死刑求刑事件,しかも無罪を争っている事件において裁判員裁判は行われていませんが,もしそのような事件に裁判員として遭遇したら,想像もできないほどの苦悩が裁判員にトラウマとなってのしかかるのだろうと,この本を読んで思いました。

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中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

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