若き法曹へ

うちの事務所の若い弁護士は、私の事件を通して良く学んで下さい。
刑事弁護士の苦労はどこにあるのか、無実の人を助けるため国家権力と戦うことがどんなにしんどいことか、技術よりもパッションこそが真実に近づく近道であること、私が常に言っている「常在戦場」の意味はどこにあるか(平時に訓練を積まない者は戦時に力を発揮できない)。被告人を守ることを最大使命としつつ、同じ法曹の検事や裁判官に敬意を払った活動とはどういうものか、
私と小島先生の師匠である渥美東洋教授(刑訴法)が、中央大学6号館のゼミ室でこう言い放ちました。
「法律家が一生のうちに巡り会う、世紀の大事件というは、一件か二件。問題は、その大事件に巡り会ったときに、自分がそれに相応しい実力を身につけているかどうかである。その力を身につけるために、日頃から血の滲むような努力と研鑽を積まなければならない。こうして力をつけたが、結局、そういう大事件に一件も出会えず、往生して朽ちても、それはそれでいい人生ではないか!情けないのは、そういう大事件に出会ったときに、力を発揮できない、日頃威張ってばかりいて勉強しない、眉唾弁護士のお馬鹿さんである。」
この言葉を聞いた瞬間、若き紅顔の美少年中村は、全身に電光石火が走ったものです。
すぐ消えましたが…今も微かに線香花火くらいは光ってます。
刑事事件に「つまらない事件」はないです。大疑獄事件も、お惣菜の万引事件も、当事者の不安感と絶望感は同じです。小さな事件だからと言って手を抜かず、全力で弁護することが、その弁護士を成長させます。
肝に銘じて下さい。

「刑事弁護」に関連する記事

のりピー逮捕

のりピーこと酒井法子さんが逮捕されました。 容疑は覚せい剤所持。尿検査で覚せい剤反応が出れば覚せい剤使用でも起訴されます。 昨夜の逮捕ですから、48時間以内である明日10日月曜日の午前一番に東京地検に送検されます。 そして、午後には東京地裁で勾留質問 ...

READ MORE

刑事弁護士の中の「有罪推定」意識について

足利事件の菅家利和さんが書いた「冤罪 ある日私は犯人にされた」(朝日新聞出版社)を読みました。 この事件は,菅家さんが捜査段階のみならずどうして公判でも最初は犯行を認めていたのか,関心があったので,買って読んでみました。 一審で担当した弁護士は国選で ...

READ MORE

外れ馬券代は必要経費か

今日は馬券の話です。 競馬の予想ソフトを使って大量に馬券を購入し,配当で得た約29億円の所得を申告しなかったとして所得税法違反に問われた元会社員の男性(39)に対する判決で,大阪地裁(西田真基裁判長)は23日,男性に懲役2月,執行猶予2年(求刑・懲役 ...

READ MORE

被害者匿名の起訴状の是非

今日は「被害者の匿名記載」について考えてみます。 強制わいせつ事件の起訴状で,東京地検が被害児童を保護するため氏名を伏せたところ,東京地裁が記載を命じていたことが13日,関係者への取材で分かった。地検は応じず,地裁と協議しているが,起訴状の不備を理由 ...

READ MORE

押尾学被告人に執行猶予5年間

MDMA使用で押尾学被告人に懲役1年6月,執行猶予5年間の判決が今日言い渡されました。 5年間ですか。長いですね。 通常,薬物使用の初犯は懲役1年6月,執行猶予3年間です。 おそらく執行猶予のつく判決の全体の60%は3年間という執行猶予期間です。5年 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー