若き法曹へ

うちの事務所の若い弁護士は、私の事件を通して良く学んで下さい。
刑事弁護士の苦労はどこにあるのか、無実の人を助けるため国家権力と戦うことがどんなにしんどいことか、技術よりもパッションこそが真実に近づく近道であること、私が常に言っている「常在戦場」の意味はどこにあるか(平時に訓練を積まない者は戦時に力を発揮できない)。被告人を守ることを最大使命としつつ、同じ法曹の検事や裁判官に敬意を払った活動とはどういうものか、
私と小島先生の師匠である渥美東洋教授(刑訴法)が、中央大学6号館のゼミ室でこう言い放ちました。
「法律家が一生のうちに巡り会う、世紀の大事件というは、一件か二件。問題は、その大事件に巡り会ったときに、自分がそれに相応しい実力を身につけているかどうかである。その力を身につけるために、日頃から血の滲むような努力と研鑽を積まなければならない。こうして力をつけたが、結局、そういう大事件に一件も出会えず、往生して朽ちても、それはそれでいい人生ではないか!情けないのは、そういう大事件に出会ったときに、力を発揮できない、日頃威張ってばかりいて勉強しない、眉唾弁護士のお馬鹿さんである。」
この言葉を聞いた瞬間、若き紅顔の美少年中村は、全身に電光石火が走ったものです。
すぐ消えましたが…今も微かに線香花火くらいは光ってます。
刑事事件に「つまらない事件」はないです。大疑獄事件も、お惣菜の万引事件も、当事者の不安感と絶望感は同じです。小さな事件だからと言って手を抜かず、全力で弁護することが、その弁護士を成長させます。
肝に銘じて下さい。

「刑事弁護」に関連する記事

記録と戯れなさい

事件に出会い、初めて向き合ったとき、この事件はあの事件と似てるなとか、あのときの結末、つまり判決宣告と同じ感じで終わるだろうなとか、こういった思いに直ぐに縛られてしまうものです。それは弁護士として経験を積んでいればいるほど、自ら進んで「経験」という名 ...

READ MORE

弁護士としてのやりがい

検事と弁護士の仕事の違いで一番大きなものは何かというと、弁護士は依頼者から報酬をいただくという点だと思う。検事にもある意味「依頼者」はいる。それは、相談を持ちかけてくる警察であったり、被害者であったり、被害者の代理人弁護士であったりする。でも、検事は ...

READ MORE

ユダヤの知恵

今、あるユダヤ教徒が巻き込まれた冤罪刑事事件を担当しています。この事件に携わるようになってから、ユダヤの教典タルムードやユダヤの文化・法制度に強い関心を持ち始めました。ユダヤの戒律や生活規範といったものが、古代からの知恵の集積であることが分かります。 ...

READ MORE

わが“即独”体験記

 私は,司法修習終了後に検事に任官し,退官した後は,あさひ法律事務所(現西村あさひ法律事務所)に就職したので,厳密な意味での,“即独”を経験したことはない。ところが,事務所在籍中,政治家になることを思い立ち,故郷の函館で選挙区支部長として政治活動をす ...

READ MORE

個人の刑事責任,厳密判断 漁船の航跡,疑問残れば被告有利に

こんにちは。先日のブログでは,梅雨なのに雨がなかなか降らないなんて話しておりましたが,ようやく雨が降りましたね。これでやっと季節の移り変わりを,肌で感じることができそうです。梅雨といえば,紫陽花。紫陽花ほど雨が似合う花もありませんよね。曇天の薄暗い街 ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー