ユダヤの知恵

今、あるユダヤ教徒が巻き込まれた冤罪刑事事件を担当しています。この事件に携わるようになってから、ユダヤの教典タルムードやユダヤの文化・法制度に強い関心を持ち始めました。ユダヤの戒律や生活規範といったものが、古代からの知恵の集積であることが分かります。

私は刑事事件を専門にする弁護士であることから、よく次のようなことを尋ねられます。「どうして悪いことをした犯罪者を弁護する必要があるのか。」と。私はそんなときにはいつも決まりきった言葉を並べていました。「その人は無実かもしれないし、弁護士の助力を受けるのは権利だ。」と。でも、次のようなユダヤの知恵の深さの前には、私の言葉など一枚の答案用紙の重さすら感じられません。

サンヘドリン(Sanhedrin)という、ローマ帝国支配下のユダヤの最高法院では、全員一致で死刑の判決を下した場合には死刑を執行できないことになっていました。「全員一致の死刑判決でなければ」ではなく、「全員一致の死刑判決のときには」...です。どうしてかというと、「全員一致」ということは、その被告人がその裁判の中で熱心な弁護を受けられなかったことを意味するからです(「ロイヤーメンタリング」アラン・ダーショヴィッツ著、日本評論社、93頁)。

イェルサレムの丘

「刑事弁護」に関連する記事

犯人の証拠隠滅に弁護士が協力?

今日は「弁護士と証拠隠滅」について考えてみます。 愛知県警の警部への脅迫事件で逮捕された風俗店「ブルーグループ」の実質経営者S被告=脅迫罪などで公判中=が,別事件で勾留中の2011年夏ごろ,留置施設に接見に来た女性弁護士の携帯電話で,部下のグループ幹 ...

READ MORE

オウム3死刑囚を証人尋問へ…平田被告の公判で

今日は「オウム事件」の話です。 オウム真理教の目黒公証役場事務長拉致事件などで起訴された元教団幹部・平田信まこと被告(48)の公判前整理手続きが17日,東京地裁であり,斉藤啓昭ひろあき裁判長は,井上嘉浩死刑囚(43)ら元教団幹部の死刑囚3人の証人尋問 ...

READ MORE

記録と戯れなさい

事件に出会い、初めて向き合ったとき、この事件はあの事件と似てるなとか、あのときの結末、つまり判決宣告と同じ感じで終わるだろうなとか、こういった思いに直ぐに縛られてしまうものです。それは弁護士として経験を積んでいればいるほど、自ら進んで「経験」という名 ...

READ MORE

わが“即独”体験記

 私は,司法修習終了後に検事に任官し,退官した後は,あさひ法律事務所(現西村あさひ法律事務所)に就職したので,厳密な意味での,“即独”を経験したことはない。ところが,事務所在籍中,政治家になることを思い立ち,故郷の函館で選挙区支部長として政治活動をす ...

READ MORE

刑事弁護士の中の「有罪推定」意識について

足利事件の菅家利和さんが書いた「冤罪 ある日私は犯人にされた」(朝日新聞出版社)を読みました。 この事件は,菅家さんが捜査段階のみならずどうして公判でも最初は犯行を認めていたのか,関心があったので,買って読んでみました。 一審で担当した弁護士は国選で ...

READ MORE
代表弁護士・元特捜検事 中村 勉
中村 勉 代表弁護士・元特捜検事

長年検事として刑事事件の捜査公判に携わった経験を有する弁護士と,そのスキルと精神を叩き込まれた優秀な複数の若手弁護士らで構成された刑事事件のブティックファームです。刑事事件に特化し,所内に自前の模擬法廷を備え,情状証人対策等も充実した質の高い刑事弁護サービスを提供します。

詳細はこちら
よく読まれている記事
カテゴリー