シー・シェパードの船長逮捕!
シー・シェパード船長が逮捕されました。
容疑は艦船侵入罪です。
住居に侵入した場合に住居侵入罪となるよう に,艦船に侵入した場合,艦船侵入罪として罰せられます。
3年以下の懲役または10万円以下の罰金です からそれほど重い犯罪ではありません。
シー・シェパードについてはこれまでも度々話 題になっていますが,「反捕鯨」という政治的主張はともかく,「どうして海であんな乱暴なことをするシ―・シェパードを海上保安庁は取り締まれないん だ。」という声が高まりを見せていました。どうしてなのでしょう?
どのこの国の排他的支配権にも属さない「公 海」では,「公海自由の原則」とも言われるように,艦船の航行は自由です。
もし特定に艦船の行動に問題あった場合には, それに対する警察権・司法権を含む管理権は,その艦船の船籍国が行使できます。
これを「旗国主義」と言います。
刑法の適用範囲については,属地主義や属人主 義があり,例えば,日本領土内であれば日本の刑法の適用があるという考えを属地主義と言います。あるいは,日本人であれば,たとえ犯罪地が外国でも日本の 刑法の適用があるという考え方を属人主義と言います。
公海を航行する艦船に関わる犯罪行為について は,船籍を基準としたのが「旗国主義」なのです。
ですから,いくら乱暴な航行をしたところで, シー・シェパードの船籍が日本でない以上,日本の海上保安庁は手を出せないのです。船籍国である,たとえばオランダなどが一義的に責任を負うことになりま す。
但し,これには例外があって,「海賊行為」に ついては,いかなる国であってもこれを取り締まることができます。国連海洋法条約に規定があります。
ですから,シー・シェパードが「海賊」と認定 されれば日本の海上保安庁も取り締まることができるのです。
果たして,「シー・シェパード」が,ソマリア 沖に出没する「海賊」と同視できるかは議論があるところです。
仮に,「海賊」と認定できたとしても,海賊行 為の取り締まりに関する国内法が未整備であるという問題は残っています。
今回のシー・シェパード船長の逮捕は,日本の 艦船内で起こった事件であるから逮捕できたのです。日本の艦船内は日本の領土と同じです。旗国主義から言っても,日本国の刑法の適用があるのです。