美術品と器物破損罪

ルーブル美術館にあるモナリザが活動家らにより「襲撃」され、物議を醸すのは今に始まったことではなく、20世紀初頭からのことで、盗まれたり、石をぶつけられたり、とうとうガラスで保護されることになりました。それでも赤ペンキを投げつけられたり、最近ではスープを投げつけられる災難に遭っています。
犯人は別にモナリザやレオナルド・ダ・ヴィンチに恨みがあるわけではなく、1300億円とも言われるモナリザを汚す事件を起こすことで注目を浴びたいというのが、たいていの動機なのです。
モナリザではないですが、フランス皇帝による絵画作品に対する器物破損か、と思わせる事件もありました。それは、19世紀にロマン派にも対抗し、新古典主義にも反旗を翻した革命児ギュスターブ・クールベの作品に対するものでした。
当時はまだ絵画と言えば高貴な支配階級の肖像画を描くという風潮が残っていましたが、革命児クールベは、名もない市民のお葬式の場面を絵にして芸術界の猛反発をうけるなど(オルナンの埋葬)、徹底して世の中に反抗したのでした。後にパリコミューンにも参加したくらいの徹底ぶりでした。
そんな彼の代表作と言える名作「水浴する女たち」がフランスのサロンに出展されたとき、これを観覧しに来たナポレオン3世が、この絵の前に立ち止まり、持っていた乗馬用ムチで思いっきり絵の中の裸婦の尻を引っ叩いたのでした。「なんと卑俗な絵なんだ」と怒り心頭だったとのことです。
それを聞き及んだクールベは、こう言いました。「あー、もっと薄地のカンバスに描けば良かった。そうしたらカンバスは破れて皇帝を器物破損で現行逮捕できたのに!」と。

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